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あたしは美少女だ!
あたしは賢者だッ!
ある日、授業中、あたしは暇で日頃からイジメていた子の背中に消しゴムのカスをぶつけていた時、頭に声が響いた。異世界転生に興味はありますか? と胡散臭さ全開の優しげな声が聞こえたんだ。本当に暇だったから……、ついうんって答えた。
あたしは、別にラノベにハマるような人種じゃない。
むしろパリピで本を読むよりは外で遊ぶ事が好きだ。
格好だって派手めで男友達も沢山いる自称美少女だ。
そんなあたしだが異世界転生を受けたのには確かなる理由がある、
バケモノと罵り、イジメていた子がラノベ好きで異世界転生の本をいつも読んで異世界転生したそうな顔をしていたから。だからあてつけのつもりでうんって答えたわけ。だってあの子が異世界転生できないのにあたしができたら素敵じゃん?
魔王だかなんだか知らないけどさ。そいつを倒したら元の世界に戻れるんでしょ?
そしたらあの子に言ってやるの。
バケモノのあんたじゃ絶対に無理な事をあたしはやってのけたわ。
あんたが望んでもできなかった異世界転生があたしを選んだのよ。
やっぱり、あんたとあたしは格が違うの。
悔しいよねってさ。
その時のあの子の顔が楽しみで楽しみで、あたしはワクワクした。
次の瞬間、
時間が止まって教室のなにもない空間に空いた不思議な黒い穴へと吸い込まれた。
中は原色の赤と緑と青の三色がぐにゃぐにゃと歪み動き回るトンネルのような場所だった。赤と緑と青は決して混ざり合わず、常にどぎつい発色であたしを責めて立てているようにも感じ決して気持ちのいいものではなかった。そんなトンネルを……、
抜けるとあたしは小さな村の前でへたり込んでいた。
寂れたしょぼい村。
一陣の風が頬を撫でて吹き抜けた後……、
頭にまた声が響く。
……あなたは賢者として、この世界に召喚されました。ただし転生前と知能は変わっていません。それでも賢者として生きていく運命を背負ったのです。何故、賢者なのか、その理由は追々でいいですから自身で見つけて下さい。ではご武運を。
てかさ、それだけ?
あの子の本をとりあげてちらっとだけだけど読んだ感じじゃ、チート能力とかなんとか言うのがあってさ、天下無敵が基本じゃないの? それがなによ。賢者になったのはいいけども知能はそのままってさ。まあ、でもあたしは元々頭いいし。
明るいしポジティブだし、可愛いし……。
あ、だから賢者なのか。なんとなく納得。
右手で拳を作ってから左手のひらを叩く。
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