Mの気の弟……幸せに

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Mの気の弟……幸せに

「大和って実はMなんじゃないか?」  伊央利は大和の体をきれいにしてやりシーツも新しいものに変えたあと、腕枕をしながらそんなことを口にした。 「な……、な……」  大和は返す言葉も出て来ない。  だってさ、と言いながら伊央利はにんまりと楽しそうに笑う。 「おまえ、下に父さんと母さんがいて声を抑えなきゃいけないって言うシチュエーションにすごく興奮してただろ?」 「そ、そんなことないっ……」  大和はむきになって抗議したが、伊央利は聞き入れない。 「そんなことあるよ。俺には分かった。双子の以心伝心ってやつだな」 「…………っ」  確かに大和も伊央利との間で双子の以心伝心を感じたことは何度もあるが、そういう言葉はこういう場合に使うものじゃないと思う。  勝ち誇ったように笑う伊央利に向かって、大和は言ってやった。 「そ、そういう伊央利はどSじゃないかっ……」  弟に指摘されて、伊央利は瞬間目を瞬かせてから、今度は少し意地悪そうに笑う。 「へえ……、俺のどんなところがどSだって言うの? 大和」 「う……」  伊央利が聞き返すと大和は真っ赤になった。  きっとセックスの最中のことをいろいろ思い出しているのだろう。  あー、マジ可愛い。  心底デレながらも口調はあくまで意地悪そうに再び問いかける。 「ねー、大和。どういうところ?」 「伊央利の意地悪……そ、そういうところもSだよ」  大和は自分を揶揄い楽しんでいる兄に、枕やクッションをぶつけてやりたくなったが、先ほどまでの激しいセックスで、腕どころか指一本持ち上げるのさえ億劫で。  自分とは見た目も性格も全く違う双子の兄を涙目で睨むのが精いっぱいだった。                             了
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