いが~み漫才

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 バシン!  「いが~みさん! なんですかこれは! 怖すぎるやないですか! さいごのおとっつあんの、ふふふっ、ってなんですねん! ほのぼのでいく言うたやありませんか!」 「痛いなぁ。考えすぎやで、義理のおかあさんはなぜか死んだだけや。ヘンちゃんとグレちゃんを捨てに行こうとおとっつあんをそそのかした悪いお義母さんはなぜか(﹅﹅﹅)死んだだけや。――ただ、死因はわからんがな……ひょっとすると、おとっつあんが……燃え盛るかまどの中に義理のおっ母さんを……」 「もう、アカンて! ぼくトイレに行きたくなってきたわ。そ、それになんかいやな予感もするなあ」 「おっ! そないなこと言うてる間に、なんか、いいにおいがしてきたで! きっとあすこに見えるのが”お菓子の家”とちゃうか!?」 「ほんま! ええにおいや! なんか食器棚の隙間に見えまっせえ!」  カサカサカサカサ―― 「これや! これやがな! これがわいらが探していた”お菓子の家”や!」 「これがですか? なんか(のき)が低うて、平べったい家屋ですなぁ?」 「この中からええにおいがしてくるで!」 「なんか、イメージしていたんと、随分ちがうんですが……」 「こまかいこと言うな! ほなら、お家の中に入るでぇ。あら先客がおるな? どれ、ちょと、邪魔するで!」 「ああ! い、いが~みさん! まって! 置いてかんといてぇ!」  カサカサカサカサ―― 「おや? 中が満員やがな? みなさん”お菓子の家”を楽しんでいらっしゃるようですね?」 「……」 「あれ? 返事があらへんわ? もう、お腹いっぱいお菓子を食べて寝てはんのかな?」 「……いが~みさん。あ、足が……ぼくの足が動かれへんのやけど」 「なに言うとんねん。あ、あら? わいの足も動かれへんわ?」 「お、お腹が、お腹が床にくっついてはなれへんです」 「あほなことを言うな! 冗談きつすぎるで。あ、あら? わ、わいのお腹もくっついた?」 「た、助けてください。い、いが~みさん。おかしい、おかしいですよ! この”お菓子の家”、なにかがおかしいです!」 「なんやて! いま、なんと言うた?」 「おかしい(﹅﹅﹅﹅)。このお菓子(かし)のお家はおかしい(﹅﹅﹅﹅)と言ったんです!」 「そ、そうか! あっははははっ!」 「な、なにがそんなに可笑しい(﹅﹅﹅﹅)のです!? この状況ヤバいですよ!」 「ようきいてや! お菓子ぃ、おかしぃ、可笑(おか)しい、おかしぃ、おかし(﹅﹅﹅)! これが、ほんとのおかし(﹅﹅﹅)(い)の家や!」 「ありゃぁ、ほんまや! ――ええかげんにしなさい」 「どうも、ありがとうございました!」 (了)
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