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「はい、どうも~!」
「まいど! おおきに! みなさん元気ぃにしとったか?」
ペシン!
「やすし風のいが~みくん! みなさんに向かって、元気ぃにしとったか? なんて、なれなれしいやないか!」
「ええがな! ええがな! ここにおられるみなさんは、みんな、わいのお友達や!」
「ほんまかいな? ところで、こんな浜辺にぼくを呼びだして、なにごとや?」
「よくぞきいてくれた! キー坊!」
ペシン!
「キー坊とはなんや! なれなれしく呼ばんとって!」
「痛いなぁ。おまえは”キー坊” やろうが」
「キー坊なんて、はじめて言われたわ。ぼくの名前は”黒木”や!」
「そうそう、みなさんこいつは”黒木”いいますねん。ふだんはあるところで”刑事”をやっとります」
「そんなんどうでもええねん! それより、なんで”黒木”のぼくが、”キー坊”やねん? ”きよし”がキー坊ならわかるけど?」
「黒木の”木”で、”キー坊”や!」
バシン!
「名前のさいごを取って”キー坊”は強引やわぁ! ええかげんにしてや!」
「ああ? メガネ? メガネが飛んでいった! 目がよう見えへん!」
「――ほら、いが~みくん。メガネや拾っといたで」
「あら? おおきに! ほなら、キー坊でええな?」
バシン!
「なんでやねん! ぼくは”黒木”やから、どちらかと言えば”クー坊”とちゃうか?」
「ああ? メガネ? またメガネがどっかにいってしもうた?」
「もう、めんどくさいやっちゃなあ。ほら、メガネ!」
「ああ、どうも、おおきに」
「……でも、”クー坊”はなんか言いにくいなあ? やっぱり”キー坊”かな?」
「そやろ、うちの”ヘレン”もそう言うとる」
ペシン!
「”ヘレン”は”キー坊”(西川きよし)の嫁はんや! いが~みくん! うちの”ヘレン”なんて言うたら、ややこしいがな!」
「あら? それはすんまへん」
「ほんまもんのキー坊にあやまっときや。そんなことより、ぼくを呼びだしてなんの用?」
「なんの用ってなんやねん! 漫才や漫才をするんや。あのな、わい、いま大好きな女の子がおってな、その子、なかなかわいがお勧めする水着を着てくれへんねん。そやから漫才やって、その子を笑わしたらなんとかなるかもしれへんと思ってやな。それでおまえを呼びつけたというしだいや」
「そらあ、いが~みくん。たいへんやね? どれどれ、そのきみが大好きな子にお勧めしたいと思ってる水着ちゅうんはどれや?」
「はいはい、これやがな――」
ペシン!
「なんやねんこれは? これゴキブリの絵が描いてる水着やないか!? きみは変態か?」
「ちゃうねん。ちゃう、ちゃう、ちゃうねん、ちゃうちゃうねん!」
「ちゃうちゃう言いすぎや! チャウチャウ犬が怒ってきよるでぇ。それよりこんな水着、女の子が着てくれるわけあらへんで」
「そうか? 素晴らしいデザインや、思わへん?」
ペシン!
「思うかいな! だれがこんなデザインの水着を着るねん? おや? きみその水着……」
「やっと気づいたかい! わいのG水着や!」
「うわ~っ、きっしょ~い。きみ? 頭だいじょうぶ?」
「まったくぅ、芸術のわからん奴やなぁ。これは見事な”おーとくちゅーる”や」
「おーとくちゅーる? なんや、猫ちゃんのおやつかいな?」
「なんで? 猫ちゃんのおやつやねん?」
「そやから、おーとくちゅーる、おとくちゅーる、お得なチュールや! 特売のチャオ・チュールのことやろ」
バシン!
「キー坊! それは強引すぎるでぇ! 猫ちゃんが大好きなチャオ・チュールとちゃうわい! 特別仕立てのお洋服のことやがな!」
「すんまへん! ぼく、横文字には弱いんや」
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