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三十六話 子の成長は早い
「 母さん、最近…外出チケット使わないね?ボクも父さんも有休、あるよ? 」
『 それは…自分達の休みに使えばいいさ 』
二人に貰った有休を使った外出チケット
まるで、肩たたき券のような見た目だったが、二回ほど使って残りはまだ使っていなかった
正確にはもう…使えないのだがな
もう少し券を使って外を満喫してた方が良かったと思うほどに、俺は広い空に憧れる
「 母さんの為に使うから作ったんだよ?じゃ、ボクが今からお出掛けに連れていくよ! 」
『 えっ、ルビー!? 』
「 大丈夫!ボク、強いから! 」
爪の長い手で、俺の手を取り大きな羽を動かして走り出したルビーに驚きながら引かれるままに渡り廊下へと向かう
どうなるか、そんなの試したく無かったのだが、
笑顔で手を引く息子の様子に、否定など出来なかった
「 ほら!大丈夫だって! 」
『 嗚呼、そうだな…… 』
渡り廊下から庭へと降り、一歩ずつ歩く度に恐怖心を感じる
ルビーには見えてない鎖が徐々に伸びて…
ピンっと張った瞬間、俺の身体は一歩を踏み込んだ瞬間にその場へと崩れるように膝を付いた
『 っ……! 』
「 母さん……?どうしたの!?躓いた? 」
『 大丈夫…ただちょっと、俺はやっぱりこれ以上はいけないようだ 』
張った鎖の距離と急に重くなった身体は、鉛のように動けなくなった
これが、此処から出れなくなったという事実なんだと改めて実感する
「 なんで?前まで、出れたのに……あ、父さんに聞いたら 」
『 ルビー、前にサタンが言ったろ 』
「 ん? 」
『 俺は契約したんだ。この城から出ない変わりに…俺が求める住みかを得たんだ… 』
不自由ない揃ったもの、前よりずっといい城なのは自覚してる
光は多く射し込んで、よく使う風呂、トイレ、寝床には文句の付けようがない
必要な場所は全て完璧だからこそ、空を望むことは諦めることぐらい出来る…そう思っていたのに……
「 なんで?羽があるのに、飛べないの? 」
『 っ……あぁ、飛べないだ…… 』
城の中なら飛べるが、この羽は空を飛ぶことはもう二度とない
ルビーの言葉が胸に突き刺さり、芝生へと爪を立て奥歯を噛み締めた
動こうとすれば鎖の音が響き、身体は重く座り込んでるのさえやっとの状態だ
気を緩めば後ろへと引っ張られそうな感覚に、幾つもの感情が渦巻く
「 ボク……サタン嫌いだよ…… 」
『 何故だ? 』
「 だって、母さんの自由を奪うから。サタンだけじゃない……みんな嫌い。なんで母さんだけ、外に出られないの 」
『 ルビー…… 』
宝石のような赤い瞳から大粒の涙が零れ落ちた
俺に合わせてしゃがみこんだ大きなオナガドリの姿をした獣は、羽根を落としては黒い渦と共に人の姿へと変わった
ルビーは人にならないと思っていた、だが……それよりも面影がネイビーに似てるのに、少年らしい彼は此所にいる連中とは違った美形だ
「 ボクはやだよ……母さんだけ、なんで……ずっと城の中に居なきゃいけないの…… 」
きっと魔物達なら当たり前のように“女王蜂だから“と口を揃えて言うだろ
だが、目の前で俺の変わりに泣いている黒髪の少年はその言葉を告げない
泣き顔が似合わないと、手を伸ばそうにもまるで壁が有るように、空気の壁へと手を付く
『 ルビー……俺が望んで城にとどまっている。だから…そう泣かないでくれ…… 』
俯いていた顔を上げ、俺を見たルビーは涙を堪えるように奥歯を噛み締めては両手を広げ飛び付いてきた
『 ふっ……その姿なら、抱き締めやすいな 』
「 うぅ……母さん…… 」
我が長男はとても母親っ子のようだ
此方に来てくれたお陰で抱き締めることが出来て、羽の付け根に腕を回し片手で頭を撫でてあやす
ルビーには見えない鎖は、僅に緩んだのは俺が後ろに下がったからだろうな
『 部屋に戻ろう……。その姿で歩けるか? 』
「 ん……大丈夫……二足歩行には慣れてるから 」
飛べなくとも、外に出なくとも、此所には特別なものがある
だから俺は、全てを投げ捨てることが出来ないんだろうな
『 御前、見た目は二十歳未満の少年なのに……身長たけぇな…… 』
「 そう?母さんが小さいんだよ 」
『 此でも百七十四㎝はあるし…… 』
城の中に戻り、歩きながら横目で見ればルビーの視線は見上げるほど上にある
流石、元デカい鳥だけあるって思うほどに百九十以上は有りそうな身長はちょっと邪魔だと思う
それに相変わらず長い尻尾やら羽は健全で、服装は何処か軍服に似ている
働き蜂だから、こんな格好なんだろうな
「 ボクも人の姿になって。飛ぶのを止めるよ。母さんと一緒 」
『 ふっ、そこまですることないさ 』
別に必要ないと鼻で笑えば、ルビーはムスッとした様子を見せれば俺の肩を掴み、通路脇へと押し当ててきた
『 いっ……ルビー……なにす…… 』
背中に打ち付けたことで、羽の痛みに眉を寄せ
怒ろうと見上げれば、其処には俺の知らない少年が見下げていた
「 そこまでするよ。ボクね……母さんが大事で大好きなんだよ。なんでもするよ 」
『 っ……! 』
なんでもする、その言葉がいつも聞く明るさを含んで無いことぐらい分かる
一瞬、目の錯覚のようにルビーの身体が真っ赤に染まった光景を見て言葉を失っていれば
ルビーは肩に両手を当てたまま顔を耳元へと寄せてきた
「 ボクもさ…弟増やすの手伝いたいんだ。母さんの為に、協力したい 」
『 ……ルビー……まて、なに……! 』
急にどうした?そう思うより柔らかさのあった長い尾は、まるで鋭利な剣のように鋭くなり、手に持ってるかのように俺の服の隙間へと入ってきた
少しでも動けば切れる、と察すれば動けなくて
息を詰めて、胸元を押せばルビーは耳へと舌先を当て甘く囁く
「 ボクも……雄なんだよ。母さん…… 」
『 !! 』
意味を理解してない訳じゃない、寧ろどこかでその日は来ると思っていた
だが、次の女王蜂と繁殖すると思ってたからこそ俺の中では息子という感覚を取ることは出来ず、否定するしか無かった
「 ボクと弟を増やそうよ… 」
『 俺は……御前とは、したくない……。いい加減にしないと、怒るぞ 』
「 ふふんっ、いいよ。怒って。そんな顔も大好きだから 」
なんだろうか……よく知るルビーのはずなのに
今はまるで全く知らない少年のように、その言葉は怖いと思うほどに身が震える
何故、こんな事になったのか……どこで間違えたか
考えれば考えるほど、ルビーの甘さに素直に受け入れた時にそうなってしまったんじゃ無いかって思うと、無性に辛くなる
「 母さんって本当…いい匂いするよね……ずっと望んでた、ボクにも貰える日を……ふふっ、母さん……肌綺麗だねー 」
耳を舐め、首筋へと舌先を伸ばし
服の隙間へと入れていた鋭利な尾によって、服の前は斬られ身を晒す
隠そうと手を動かせば掴まれ、簡単に一纏めに持たれ
頭の上で固定され、ルビーは俺の姿を満足気に眺めては鎖骨から胸元へと唇を寄せる
『 ルビー……やめ、ろ……息子とは、したくない…… 』
「 嫌だって……思えないけど?本当にいやなら、ボクは動けないはずだもん 」
『 くっ……!ッ……! 』
見せ付けるように赤い舌先は乳首をなぞり、全体的に舐めては音を立て吸い付く
口から乳首へと繋がる銀色の唾液がいやらしく、思考は嫌でも身体が反応してしまう
ルビーの瞳が楽しそうに目を細めるのを見て、俺の口は上手く言葉を繋げなくなった
疼く下半身は本能によって反応し、熱くなる体温を下げる術は知らない
「 はっ……母さんの……熱くなってる。ボクの中に入ってきてよ 」
発情したばかりの雄なんだろ……
卵子を求めるように拘束した手をほどき、
しゃがみこみ俺が否定する前に、ズボンを下げて取り出した陰茎を掴んでは徐に咥内へと含んだ
『 なっ!くっ、っ……! 』
息子にフェラをされることに、罪悪感から腰を動かして引こうとし、立派な角がある後頭部を抑えるも、それが尚更深く咥え込まれ、呼吸は荒くなる
『 やめっ、ぁ、やめっ……ルビー……たのむから、っ……!んんっ、ぁ、いや、だ……くっ……! 』
否定する言葉とは裏腹に、身体は欲を求め反応していく
探るように舌を陰茎へと絡ませて頭を動かすように、擦っては先端から裏筋へと重点的に舐める感覚に頭は馬鹿になりそうなほどに快楽を拾い
呼吸は荒れ、太股は時折震える
「 ん……ふっ……んん…… 」
卑劣な音を響かせ、垂れる先走りを吸い付いては
頭を上下に動かすルビーに、理性より先に本能のまま限界は近付く
『 だめっ、って……ルビー……いいっ、くっ……あぁあ!! 』
太股に力が入り、大きく跳ねれば咥内へと卵子を吐き出した俺に、ルビーは噎せること無く丁寧に舐めとって飲み込めば顔を上げる
「 ふふっ……母さんの卵子、御馳走様……次はこっちに、ちょうだい……?ボク……もう、とろとろだよ? 」
立ち上がったルビーはズボンを下げ、太股から垂れる先走りに触れては、ねっとりと体液の付く指を俺の唇へと当て、指先を咥内へと押し入れた
『 っ……ん…… 』
甘ったるい欲が、本能を掻き立たせ無意識に指を舐めれば、簡単に手は引かれ変わりにルビーの顔が近付き唇は重なった
「 ン……んっ…… 」
『 はっ、ンッ…… 』
押し付けるだけの唇は、柔らかくそして欲とフェロモンの香りに頭は真っ白になり
否定する意識は薄れ、ルビーは自ら脚を広げ輸卵菅を掴めば後孔へと押し当て挿入した
『 ン……ぁ、ンッ…… 』
「 はぁ……っ…… 」
こんなにも積極的だったのか
こんなにも発情していたのか
様々な思考は一瞬過る程度で消え去れば、ルビーは本能のままに腰を揺らし、肉壁の温かさと締め付け感に俺の理性は途切れた
舌先を絡ませ、濃厚な口付けを交わしたまま
ルビーの育児嚢へと卵子を注ぎ入れた時には、彼の中は震え精子を吐き出した
「 ふふっ……ボクにも弟が出来るね……母さん、大好きだよ 」
コイツは……俺の知る雄の中で一番恐ろしい奴だと実感した
サタンが可愛く思えるほどに、ヤった事に後悔して自分の愚かさに幻滅した
『 …………ネイビー、俺を殺せないか 』
「 相手は雄だ。当たり前の事をした迄だ……御前が悩む必要はない。若いレーヌアベイユには若い雄ってのは普通だろ 」
『 少しは慰めてくれないのか……いや、寧ろ親にヤられた彼奴を慰める……必要はないか 』
るんるんで立ち去ったのを知ってる
そして俺は、座り込んで動けなかったのをネイビーに救出された
「 御前は……若い雄がいいか? 」
『 は?なんでそうなる…… 』
起きることすら怠い身体を動かす術はなく、
上へと被さってきたネイビーは、嫉妬を向けながら顔を寄せてきた
「 俺は年寄りの雄だが……御前の子は欲しい…… 」
妊娠してるだろ、その言葉はキスと共に塞がれた
なに、息子に誘われた後に次は夫ですか?
随分と女王蜂っていい御身分だな……
「 はっ……ぁ、はぁ……るい、すげぇ……気持ちいい…… 」
『( あ、コイツ等……同じ血筋だ )』
俺が動けないことを良いことに、好き勝手動いては自分で挿入して、腰を振ってよがるネイビーはまさに、
ルビーと重なる部分がある
子の成長の早さは嬉しいようで寂しいと思った
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