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番外編 ~ ジャック視点 ~
「 ジャック!頑張って!! 」
「 いっけー!!! 」
高校二年の夏、バスケのインターハイへと出場した
父親が昔、バスケをしてたってことを聞いて小学生から始め、そのまま高校まで続けていた
医師を目指すついでにバスケ、なんて思ってたけど強豪校だった為に、流れに流され此処まで来た
今では“エース“なんて呼ばれるけど、
この身体能力は人間離れしてるとか言われ俺のものではない気がする
両親に相談したことはあるが、特に気にもしない
『( 相変わらず五月蝿い…… )』
気にしてくれてもいいのに……
いや、両親を見れば俺の身体能力程度はなにも思わないだろうな
「 そこまで! 」
「「 ありがとうございました!! 」」
点差を三十点開け、俺達のチームが勝った
ほぼ点数は俺がスリーポイント入れ勝ったのだが、この方法は母親から聞いたやり方
“ 確実に勝ちたいなら、確実に点数を入れていけ
そうすれば、勝てる “
一点を競うより、スリーポイントをいくつも打てば
例えゴール下で一点を取られても、こっちが有利なのは変わらない
俺の役目は、ゴール下で取り合うことはせず、いつでもスリーポイントをうてる範囲にいること
数人の者が俺を見張っていたが、彼等の動きはまるでナマケモノのようにスローに見える
いつからこんな相手の動きが遅く見えるようになったのか、もう分からないほど物心ついた時だと思う
「 やっぱりジャックがいると最強だな! 」
「 流石、神の落とし子! 」
『 ははっ……そうかな?ありがとう 』
神の落とし子、肩にある羽のように見える痣からそう呼ばれるようになった
両親にはない、俺だけに現れた生まれながらの痣
刺青とは違って青アザのようだからこそ、誰も刺青とは言わないが、この痣が有ることで俺は呼ばれたくもない渾名で呼ばれる
神の落とし子……。なんて、神を信じてはない
「 其にしても、御前の両親って本当若々しいよなー 」
「 中学の頃から変わってないように見えるんだが 」
『 なわけ、老けてるよ。もう四十五歳だし…… 』
「「 四十五!? 」」
「 いや、どう見ても二十代だろ! 」
「 百歩譲って三十代前半とか…… 」
此方に手を振る母親と、笑顔を向けている父親を見れば四十五歳に見えないぐらい若々しい
この高校の卒業生?なんて聞かれたことがあるぐらい、両親の容姿は物心付く頃から変わってない
変わってないと思うと不気味だから老けていると言ってるのだが、息子である俺が見ても彼等の外見は変わりはしなかった
美人のお母さんだね、そう言われてたのは小学生の頃まで
中学生からは、母さんに気があるんじゃないかとか、そういった下心ある言葉を投げ掛けられる
俺が悪い訳じゃない……両親の外見が変わってないのが可笑しいんだ
ユニフォームから制服へと着替え終え、両親が待っている方へと向かう
跳ね馬のエンブレムが付いた黒い車へと視線をやれば、二人は楽し気に話してる会話を止め此方を向いた
「 お疲れさま~!後半三分ぐらい手抜きしてたでしょ? 」
『 うん、まぁ……点数開いてたし 』
「 分かる。ちょっと手を抜きたくなるよなー 」
「 インターハイなんだから手を抜いたら相手に悪いよ?本気でやらなきゃ 」
四十五歳か……本当にそうなのか?と思うが、
俺がDNA鑑定を望んだときに、彼等は拒否をする事もなくそれを受け入れた
案の定、二十二ヵ所を採取して検査した結果、二十二ヵ所で一致したんだ
DNA鑑定は裏切らないし、それを嘘だとは思えない
彼等は紛れもない俺の両親なんだ……
「 マジでジャックの両親わけぇ~ 」
「 母親、綺麗過ぎるだろ 」
『 ………… 』
二人が来るといつもそう、学校で噂されるのは目に見えてるから、胸の中に霧が出来る
「 やっほー!いつも御世話になってます! 」
『 あのさ……そういうの止めてよ 』
「 えっ?なんで? 」
俺より身長の高い父親は、此方を見下げれば青い瞳を丸くし首を捻った
良く似てるね、そう言われるほどこの人と俺は似ている
『 ……もう、試合とか学校にも来ないで 』
似てるからこそ比べられる
俺もこうなるんじゃないかって……なりたくもない
老けることのない不気味な両親と同じなんて……
「 なんで?子供の試合をみたいし……ねぇ? 」
「 そうそう、子供の成長は早いから記憶に止めたいし 」
子供……?子供っぽいのはどっちだよ
若々しくて、同い年の両親と比べると年齢差があるように見える
それが嫌で仕方ない……
『 子供って……俺はもう高二だし、いつまでも子供扱いしないでよ。試合を見に来てとか一度も言ってないのに……毎回来る。本当ウザイ…… 』
こんな事を両親に言ったことが無くて、自分でも何をいってんだと思うぐらい口走った言葉に目を見開き、はっと我に返り二人を見れば彼等は驚いた様子の後に、母親は父親の袖を握り締めた
「 これが……反抗期ってやつ!? 」
「 ジャックもそんな御年頃になったんだね、ちょっと感動したよ 」
『 は?えっ、なんでそうなるんだよ!感動ってふざけてんの!?俺は…… 』
何を言ってるのか理解できずに、そうポジティブに受けいることに腹を立て
二人を睨めば、彼等は小さく笑い合った
『 なっ…… 』
「 ははっ、本気だよ。感動してる 」
なんで……ウザイとか、もう来るなって言ったのに
感動してるって言う理由が分からなくて、幾つもの疑問符を浮かべる俺に、父親は空色の瞳を真っ直ぐ向けてきた
「 君はずっと、俺達の言葉を鵜呑みにしてたからね。そうやって意見を言ってくれるの…初めてじゃない? 」
『 ……そんな分けない 』
「 いや、そうだろう。バスケの仕方も、将来の夢も俺達の話を聞いて進んでる。反抗していいんだ、やりたいことをすればいいんだ。御前は御前だからさ 」
単純に反抗する理由が無かっただけ
幸せな家庭を持っている二人を見て、同じ様に幸せになりたいと思うから
手っ取り早く、彼等と同じ様に過ごしてるのに……
それは俺の意思では無いと言う、いや……俺の意思だ
『 俺は…バスケも続けるし医師にもなる。それは俺の意思だ。けど……父さん達が来ると、やれ若いとか…マザコンとか言われて嫌なんだよ!俺が言いたいのは、老けないあんた等を学校で見たくないって事だよ! 』
「「 !! 」」
両親が思っていなかった事をやっと言えたと思った
二人の反応は反抗期を喜ぶ訳でもなく、言葉の意味を理解したように、その表情は悲し気な顔を見せた
『( あ…… )』
やらかした……そう思った時には、母さんは今にも泣きそうな程に涙を溜め、俺を睨んだ
「 俺の容姿がそんなに嫌か。俺だって…… 」
「 瑠衣、落ち着いて 」
母さんを止めようと手首を掴んだ父さんだが、母さんは自らの胸元に片手を置き、告げた
「 俺だって、こんな事になるとは思わなかったんだよ!!老けたいさ!出来るなら年齢を感じたいのに…… 」
『 何いってんだよ…… 』
こんな事になるとは思わなかった?年齢を感じたい?何いってんだ……
まるで実験に失敗でもしたような発言に、予想と違った答えに驚けば、はっとした母さんの前に父さんは俺達の間に割り入った
「 人前で喧嘩するのは止めよう。ごめんね、父さん達はもう見に来ないけど…バスケ頑張ってね。帰ろう、瑠衣 」
「 ちょっ、まだ話は終わってない! 」
「 いいから、家で話そう?ねっ? 」
昔から短気な母さんを慰めるのは父さんの役割だった
俺達、子供に手を出す事は無いにしろ
少しの事で感に触ってキレる様子は、大人びてるようには見えないほど子供っぽい
どっちが子供だ、そう言えるのはきっと母さんの性格なんだろう
町を歩けば男は振り返り、今でもナンパされるような母さんを、父さんは何故愛してるのか分からない
何故結婚したのか、その理由もハッキリとは聞いてなかった
よく考えれば、いつの間にか両親はいて
いつの間にか六歳年下の妹が生まれていた
俺の家族は、どこか可笑しい……
『 はぁー……今日、帰りたくないな 』
あの様子だと家に帰っても、直ぐに母さんから怒られそうだ
ガミガミいい始めたら長いことを知ってるから憂鬱だと溜め息を漏らしてから、ふっと頭に過った人物を思い出し、今日はそっちに行くことにした
『 お邪魔します。急にすみません 』
「 別に構わんが、御前一人なのは珍しいな? 」
『 たまには……上手く言ってください 』
「 ったく、分かった 」
俺はこの人が苦手なはずなのに、一番頼りになりそうなのも自覚していた
母さんの兄である、紺空(ソラ)叔父さん
父さんの家からバスで少し行った先にある家に住んでいて、此所は母さんの実家だ
つまり、お爺ちゃんとお婆ちゃんもいる
俺が生まれた後に建て替えた広い邸宅
まるでどっかの金持ちの家なんて言われるが、お爺ちゃん以外の叔父さん達が其々金を出しただけ
家族が増えたから、客室も多くしたかったっていってたが……やっぱりデカい邸宅なのには変わらない
居心地悪いのになんで来たんだろうって改めて思う
「 ゆっくりしろ、と言いたいが……何か気になることがあって来たんだろう? 」
『 ……よく分かりましたね… 』
「 悩んでるって顔をしてる 」
紺空叔父さんに言われ、自らの頬に触れるもよくわからず
通されるリビングへと行き、荷物を置きソファーに座れば彼は二人分の紅茶を出し、ソファーに腰を下ろす
「 俺に何か聞きたい事でもあるか? 」
『 ……なにから話せばいいか、色々聞きたいはずなのに、聞いても仕方無いかも知れないと思うと……別にいいかなって 』
「 その判断は俺がする。とりあえず言ってみろ 」
この上から目線の言い方、相変わらず苦手だけど
両親に直接聞くよりマシだと思った
紅茶へと視線を落としたまま、ポツリ、ポツリと言葉を告げる
『 ……両親が老けないのが気になって……。それを問い掛けた、というか言ったら……こんな事になるとは思わなかった……年齢を感じたいって……意味分からなくて…… 』
「 ……ふっ、俺も老けてないがな 」
『 ……だから、気になるんです 』
鼻で笑われた事にムカッとするが、紺空叔父さんだけじゃない、母親の家系は皆年齢を問われると分からないほど見た目が変わりもしない
この人だって四十代なのに、三十代前半みたいな見た目だし銀さん、紅さん、魁さんも年齢が十歳以上若く見える
その中で、一番年齢が謎なのはお爺ちゃんだ
誰も気にしない、誰も言わないからそれが尚更不気味で仕方無い
「 気になると言われても、此ばかりは俺にも分から無いな。…祖父の血が濃いと思ったらどうだ?あの人もバケモノ並に若々しいだろ 」
『 それなら、母さんが若々しいのは納得するけど……父さんは?父さんは違うでしょ? 』
赤の他人である父さんが若々しいのは可笑しい
二人して若いからこそ、紺空さん達の奥さんが老けてるのが当たり前だと思っていた
あの二人だけ時間が止まってるように見える事に、怖くて仕方無い
「 ……そうだな、確かに彼奴は他人だが若々しい。だが、それに問題はあるか? 」
『 えっ、どういうこと? 』
「 若い両親を持つことを自慢できるだろう?綺麗な母親と、そこそこ顔のいい父親だ。自慢だと思うがな……何せ俺の妹だ 」
『( この人に相談したのは間違いだったかもしれない…… )』
ふふっと笑う様子を見ると、もう母さんの事を考えて頭の中がいっぱいなんだろう
この人は……ではなく、母さんの兄弟は皆、母さんが好きらしいから否定する事をしない
『 母さんは……男にモテるよね……。それも、なんだが……嫌なんだ 』
「 ん? 」
『 ごめん、やっぱり他の人に相談する。紅茶ありがとう、また来る 』
「( 飲んでねぇじゃないか…… )」
俺だけが可笑しいのだろうか……
邸宅を飛び出し、外を出れば歩く人間の足音や速度、呼吸をする息、心臓の音すら聞こえてきて気分が悪い
『 俺が、可笑しいのか……俺だけが!! 』
いつからこんな他人の音が気になって、他人の動く時間が気になるようになったのか
俺の心臓が一つ鳴る時には、他人の心臓は三倍の速度で鳴っている
俺が像で、他人が鼠のように思えてしまう
『 最悪……気分悪い…… 』
何処行っても生きる音が気になって……
何処に行っても自分だけが浮いてる気がする
馴染めないのに馴染もうと必死だからこそ
バスケでチームとして馴染もうとしてた
それも、もう…出来ないだろうか……
俺は一体誰で……両親は一体なんだよ……
その理由が分からなくて
人気のない公園のベンチに座り込んだ
空は薄暗くなり、夕方が訪れても
家に帰る気にはなれなかった
『 流石に帰らなきゃダメか…… 』
頭に響く様々な音が消えた時には、辺りに人はいなくなるほど真っ暗になっていた
案外、心配性の両親を知ってるから帰らないといけないと義務のように思っても……身体は重く動かなかった
『 はぁ……容姿以外にも気になる部分は多いのにな…… 』
「 見付けた 」
『 !! 』
溜め息を吐けば砂を踏む足音に気付き、ふっと目の前を見ればそこには母親が立っていた
『 なん、で…… 』
歩いて来る音なんて聞こえなかった
誰かの気配も無かったのに、母さんは目の前に現れて、眉を下げ俺を見詰める
その瞳は、普段の茶色の眼とは違って猫のように赤く光っていた
その目が怖くて、不気味なのに逸らす事が出来ず真っ直ぐ見詰めていれば、母さんは溜め息を吐き呟く
「 ……そろそろ気になる年齢だとは思っていた。でも、言わなくても言いと思っていたんだ。知らない方がいいと…… 」
『 なにを……母さんは、俺に何を隠してるの?言ってよ、それを判断するのは俺でしょ? 』
まるで紺空叔父さんが言ったような言葉だけど、
俺にも知る権利があると思った
ベンチから立ち向き合うように見下げれば、母さんはもう一度溜め息を吐く
まるで気持ちを落ち着かせるように……
「 そうだな……知ってもいいか。驚くだろうが、よく聞いて欲しい 」
『 なに? 』
「 俺とアランは…… 」
その答えが老けない理由なのか、
それとも俺の人並み外れた身体能力の訳が分かるのか
どちらにしろ、俺の生きてきた中で一番の衝撃的な事だった
「 やっぱり君の方が早く見付けるねー 」
『 !! 』
梟のように獲物に見つからず近付くように
暗闇から落ちてきた白い羽は俺の足元へと音もなくひらりと舞い落ち
それと同時に、父さんの声が聞こえ俺の前へとやって来た
視線の先に地面へと降り立ったのが分かり、ゆっくりと視線を上げれば言葉を失った
「 そりゃ俺は母親なので 」
「 ふっ、そうだね。俺の負け 」
『 なっ……!! 』
これは夢なのか、それとも現実なのか
その境すら分からないほどに、俺は理解が追い付かなかった
「 驚いた?あ、まだ言ってなかった? 」
「 今から言うところだった……。ジャック……御前の知りたい答えだ。俺達は……いや、俺は…… 」
母さんは僅かに笑ってから、音もなく背中から大きな六枚の黒い羽を広げた
舞い落ちる羽根は地面に落ちた瞬間に灰へと変わるが、父さんは広げていた白い羽を閉じ母さんの腰に触れ笑った
「 俺は(元)堕天使 」
「 俺は(元)サタン。そして御前は堕天使とサタンの間に生まれた、子だ 」
神の落とし子、というか……堕落した子という方があってるんじゃないか……
『 そんな……なわ…… 』
現実では考えられない事に、俺の意識は途切れた
「「 ジャック!!? 」」
父さんが堕天使?母さんがサタン?
いや……そんなの、アリかよ……
『 っ……変な夢を見た 』
「 夢じゃなくて現実だけどね。だって、ジャックが記憶なくしてもいいよーって言ったから教えなかったんだよ? 」
「 いや、寧ろ……魔力失ったはずなのに、羽は健在だし、能力健在なのが可笑しいんだよ…… 」
「 まぁ、結局。死んだ人が甦ってる時点で人間止めちゃってるよね~ 」
『 待って、待ってくれ!!! 』
当たり前のように羽を出してるし、父さんには獣の耳があって、母さんには角があるけど
待ってくれ!!一から説明して欲しいと願っていれば、ベッドに妹のルアナがやって来た
「 お兄ちゃんも、ルアナも悪魔! 」
『 ルアナ……までも、が…… 』
「「 また気絶した 」」
ひょこっと顔を覗かせた可愛い我が妹は、俺より先に悪魔と自覚してたのか
その白い羽を自慢気に広げてる様子に、俺はバスケを辞めることにした
「 えっ、バスケ止めるってなんでだよ!? 」
『 自分の実力じゃない気がして嫌なんだよ( 悪魔の力でしたなんて言えねぇ…… )だから、勉強一本でいく。頭脳だけは関係ないからな 』
「 エースが止めるって……はぁー…… 」
「 受験生だもんな、仕方無いけど……優勝するまでいてくれ!! 」
結局、インターハイ決勝戦までいることにした
そして……案の定、俺達のチームは優勝したが、次の年からどうなるから知らない
勉強は能力には関係無い、そう信じて医師を目指した
『 じゃ、俺の周りで老けない連中はそうなの? 』
「 みーんな覚えてないけど、そうだよ 」
「 うんうん 」
納得はまだ出来ないが、それでも両親が隠していたことを知れて、喧嘩は無くなった
聞けば答えてくれる
なにかを隠してる両親は、絵で書いた家族のような雰囲気があったけど、本性を知ればそんな事がないぐらい、母さんはとくに自由人だった
『 じゃ、父さんは……母さんがあんな様子だけど、なんで好きなの? 』
「 ん?んー、当たり前のように傍にいるから、好きなんだろうね。母さんのためなら俺は何度も死ねるし 」
『 ……一番頭が可笑しいのは父さんだって分かったよ 』
「 ええっ、なんで!? 」
俺は父さんとどんな約束をしたのか覚えてない
けれどきっと、母さんの事だと言う事は父さんを見て思う
母さんが笑いかける度に、微笑む父さんを見てると俺は幸せだと思うんだ
『( 悪魔の俺を好きになる奴なんていないだろうな……。つーか、悪魔だと教えて認めてくれる奴がいたら奇跡か…… )』
知らなかった方が良かったんじゃ無いかって思うぐらい、将来が心配になってきた
独り身なんてごめんだ
「 ジャック……話があるんだがいいか? 」
『 ん?急になに?。チームには戻らないよ 』
「 いや、そうじゃなくてな……その…… 」
高校最後の春
俺を呼び止めた、同級生の男子
同じバスケ部のチームでいいライバルだったなぁ~なんて過去形で思っていれば、彼は気持ち悪く頬を染めて視線を外して答えた
「 ……一年の頃から、御前が好きなんだ 」
『 …………は? 』
父さんが好きなのは自覚してるが、男が好きだと言った記憶はないぜ
てか、悪魔を気に入る奴は本能的に天使か悪魔とか聞いたけど……
まさか、こいつもそう言う家系じゃないよな!!?
『 いやいや、無理!!!俺はホモじゃないし!!つーか、御前をそういう目で見れない!! 』
「 あ、ジャック!考えて欲しい!! 」
『 無理だよ!! 』
男からモテるのって、母さんの遺伝子か?
いやいや、それでも俺はホモじゃない!!
「 ジャック、待てよ!! 」
『 待つかよ!! 』
俺の幸せな未来?
いや、ホモに好かれる時点で色々終わってるだろ
~ ジャック時点 完結 ~
「 そう言えば、次の女王蜂は誰だったんだろう?ルアナ? 」
「 さーな。魔界の事なんてどうでもいいさ。どうせ、死んだら行くんだから……。その時で 」
「 そうだね!その時、知ったらいいかな 」
~ 番外編 完結 ~
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