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蝶々
サナギの状態のままの青虫が心配で、熟睡出来ない日が続いた。
目の下にクマが出来た。
会社では嫌みな上司の和田から、からかわれ笑われた。
八百屋も急にキャベツを買わなくなった客が気になっているのか、店の前を歩くとチラチラと私を見ているようだった。
ある夜、寝ている時、顔に風を感じて目が覚めた。
すると、私の目の前には羽を羽ばたかせた真っ赤な蝶々がヒラヒラと飛んでいた。
「蝶々になれたんだな。
本当に良かった……」
蝶々になった青虫は自分の成長を私に見せるように、嬉しそうに私の前で飛び回った。
私は人差し指を立てて止まるかどうか試してみた。
「おいで」
すると赤い蝶々は犬っころのように私の方に一目散に飛んで来て、人差し指の先にとまった。
すっかり心を許してくれているようだ。
赤い蝶々はクリクリとした目玉で私を見つめている。
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