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血
しかし次の日になっても私の熱は下がらなかった。
むしろ悪化したようでゴホゴホと咳まで出る始末であり、とても外出できる状態ではない。
このような状況になっても、私の頭の中は青虫の心配で一杯だった。
もう限界だ。
青虫の心の声が聞こえる。
「お腹、空いたよぉ。
お腹、空いたよぉ」
ごめん。
ごめんよ。
何か、何か……。
私はふらつきながら立ち上がり、冷蔵庫に向かおうとした。
その時、力が入らない足がもつれ私はテーブルにもたれ掛かろうとして転倒した。
テーブルの上にあったガラスのコップが落ちて割れ、その上に倒れこんだ。
鋭いガラス片で手のひらの肉をザックリと切ってしまい、床に血が流れている。
「ううっ」
私はあまりの痛みで、うなり声をあげた。
それをじっと見ていた青虫は、初めてプランターの外に這い出てきた。
ニョキニョキと私の方に向かってくる。
青虫は私に近づくと手のひらによじ登り、傷口を眺めている。
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