サナギ

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サナギ

「お前、心配してくれてるのか?」 私は優しく青虫の背中を撫でると、つまんで床に置いた。 何とか、出血を止めなければ。 落ちているティッシュの箱に手を伸ばし、ティッシュを数枚引っ張りだすと、傷口に押し当てた。 青虫をプランターに戻さないと。 青虫を置いた場所を見ると、青虫は床に流れた私の血を舐めていた。 「おっ、お前。 血を飲んでいるのか!?」 私は驚きと同時にホッと胸を撫で下ろした。 何でもいいさ。 お腹に入れときゃ餓死はしないだろ。 青虫は、よほどお腹を空かせていたのか、一心不乱に血を舐め続けている。 しばらくして青虫を見ると、血を飲んだせいか体は赤くなっていた。 青虫は数日後、赤いサナギになり動かなくなった。 一ヶ月が経っても、サナギ状態のまま固まっていて変化はなかった。 ちゃんと目覚めて、蝶々になってくれるだろうか。 血を飲んだせいで死んだりはしないだろうか。
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