11人が本棚に入れています
本棚に追加
サナギ
「お前、心配してくれてるのか?」
私は優しく青虫の背中を撫でると、つまんで床に置いた。
何とか、出血を止めなければ。
落ちているティッシュの箱に手を伸ばし、ティッシュを数枚引っ張りだすと、傷口に押し当てた。
青虫をプランターに戻さないと。
青虫を置いた場所を見ると、青虫は床に流れた私の血を舐めていた。
「おっ、お前。
血を飲んでいるのか!?」
私は驚きと同時にホッと胸を撫で下ろした。
何でもいいさ。
お腹に入れときゃ餓死はしないだろ。
青虫は、よほどお腹を空かせていたのか、一心不乱に血を舐め続けている。
しばらくして青虫を見ると、血を飲んだせいか体は赤くなっていた。
青虫は数日後、赤いサナギになり動かなくなった。
一ヶ月が経っても、サナギ状態のまま固まっていて変化はなかった。
ちゃんと目覚めて、蝶々になってくれるだろうか。
血を飲んだせいで死んだりはしないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!