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その後、母に連れられ家を出た詩織。フサフサの耳を生やした男の子も一緒だ。外を歩くときは、耳を隠す為に帽子を被っていたけど……。
「夏も被るの? 帽子」と、恐る恐る尋ねてみた。
「うん。兄貴たちは妖力で完全に人間の姿を維持出来るけど、僕はまだ……」
「兄貴たち? お兄ちゃん、いるの?」
「うん。一番上の兄貴は鬼の角と牙、二番目の兄貴は犬耳と牙、三番目の兄貴は黒い翼があるんだ」
わけが分からないけど、そんな集団には絶対関わりたくない。苦手なものトップワンを飾るのは、お化けなのだ。
心が拒否反応を示す詩織を、母はにこやかに地獄へ突き落とす。
「ちょっと変わった体質だけど、みんなカッコイイわよ? 仲良くしなさいね。詩織にとってもお兄さんになるんだから……」
(待て、待て、待て……。お兄さん……だ?)
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