母の再婚相手

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☆★☆★☆★☆  電車で五駅先にある寺院に着いた。  美しい日本庭園が目の前に広がる和室で、詩織が母やフサフサの耳を生やした男の子と共に座っていると、寺の住職が入ってきた。 「初めまして」  笑顔を向けてくるおじさんは、住職には見えない。漆黒の髪はオールバックで決められていて、ワイルドな印象の男前。 「詩織ちゃん、僕が君の父親になる京堂(きょうどう) 斗真(とうま)だ。よろしく」 「はぁ~!?」 「って……、あれ? 話聞いてないのかい?」  戸惑いながら母を見つめるワイルドな住職。母は不思議そうな顔を詩織に向けた。 「手紙、読んでないの?」 (手紙……? そういえば、三日ほど前に渡された様な……?) 「……読んでなかった」  仕事三昧の母とは顔を合わせる時間が少なく、普段ゆっくり話をする事は出来なかった詩織。代わりに母は、彼女によく手紙を書いた。小さい頃は返事を一生懸命書いた詩織だが、小学校高学年にもなると読んで終わり。返事のない文章を、母もあまり書かなくなった。  大事な話だから、ちゃんと読んでと久々に渡された手紙は、封も開けぬまま……。机の引き出しに放り込んである。どうやら、それには重大な事が書かれてあったらしい。 「嫌なら遠慮なく言ってって書いたのに、返事が全くなかったから了承してくれたと思ってたわ。銀太君に対する反応がおかしかったのは、何も分かってなかったからなのね……」  何も分かっていなかった私に、母は一から説明してくれた。
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