母の再婚相手

5/6
前へ
/9ページ
次へ
 若くして詩織を身ごもった母は、シングルマザーの道を選んだ。家族とは絶縁状態。頼る人もいない母の頭を悩ますのは、お金の事。高校も中退した母はパートを掛け持ちして仕事に明け暮れる。  正月休みの間も休んでいられないというのに、パート先の一つであるレストランが、今年から年始の三日間は休業する事になった。慌てた母は、寺院の求人に飛び付いた。そこで住職の斗真さんに出会ったらしい。 「じゃあ、出会ったのは今年の一月!?」  ちなみに、今は三月頭。 「お互い、一目惚れだったの!」  それにしても、早すぎる気がするが……。 「僕はすぐにでも一緒になりたかったけどね。一応、何度も話し合ったんだよ? (はるか)には詩織ちゃんが居るし、僕には変わった体質の四兄弟が居るからねぇ……」  先程フサフサの耳を生やした男の子から聞いた、わけの分からない話が頭を過った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加