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若くして詩織を身ごもった母は、シングルマザーの道を選んだ。家族とは絶縁状態。頼る人もいない母の頭を悩ますのは、お金の事。高校も中退した母はパートを掛け持ちして仕事に明け暮れる。
正月休みの間も休んでいられないというのに、パート先の一つであるレストランが、今年から年始の三日間は休業する事になった。慌てた母は、寺院の求人に飛び付いた。そこで住職の斗真さんに出会ったらしい。
「じゃあ、出会ったのは今年の一月!?」
ちなみに、今は三月頭。
「お互い、一目惚れだったの!」
それにしても、早すぎる気がするが……。
「僕はすぐにでも一緒になりたかったけどね。一応、何度も話し合ったんだよ? 遥には詩織ちゃんが居るし、僕には変わった体質の四兄弟が居るからねぇ……」
先程フサフサの耳を生やした男の子から聞いた、わけの分からない話が頭を過った。
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