A girl meets a girl~少女は、少女に出会う

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「そうよ、今日は私たちの終戦記念日よ」 世理奈も声をあげたが、傍らの少女はうつむいていた。「どうしたの?盛り上がりなさいよ」 世理奈がいうと、 「終戦記念日なんて縁起じゃないわ」 と少女がいった。 乗り気でない少女が気になったが、世理奈はつられてはしゃいだ。 祭りが終わったとき、すでに終電の時刻が過ぎていた。 乗り遅れたファンたちは、三々五々散っていき、二人の少女は代々木公園のベンチに座った。 「はい、これ」 NHK前の販売機で買ってきたコーラを世理奈が持ってくると、 「ごめんなさい。そういうキツイの飲めないの」 と少女は断り、カバンからミネラルヲウォーターのビンを出した。 コーラを二本飲む羽目になった世理奈は、 「家どこ?私は旧葛西橋だけど」と尋ねると、 「門前仲町」 と少女はこたえた。 「明日、学校なのよね。間に合うかな」 世理奈がぼやくと、 「学校どこにあるの」 と少女が尋ねてきた。 「麻布」 世理奈がこたえると、少女が手帳らしきものを出してきた。 「あ、それ、ウチの学校の」 世理奈が声を上げると、 「やっぱり・・・・・同じ東京山手女子学院だったのね」 少女が嬉しそうにいった。 「えっと、何年生?もしかして先輩ですか」 「高等部二年だけど」 「ああ、じゃあ同じね、私、桜組の秋月世理奈だけど、あなたは?」 世理奈が尋ねると、 「私は桃組の綾香・・・・・・」 まで少女がこたえると、 「ああ、綾香ちゃんね」 と早合点した。 「いいえ、綾香くるすというの」 「へえー、てっきり名前かと思った」 くるすは笑っていった。 「長崎には多い苗字なの」 「そうか・・・・くるすちゃんてかわいいね」 世理奈がうらやましそうにいうと、 「家がカトリックなので、そういう名前にしたの」 と恥ずかしそうにくるすはいった。 「秋月さんて、あの国会議員の青蓮院先生のお孫さんなんでしょう?」
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