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お父さんの机の上のスマートフォンがブルっと震える。表示されたメッセージを確認して(なんだ? 外を見ろなんて、わざわざ連絡してくるなんて)とブツクサと呟きつつデスクから歩いて行き、窓辺に立つ。空ではやや消えかかった虹が待っていた。
(そういえば、あの子も虹が出ていると知らせて来たことがあったな)と思い出す。その時は会社の窓から見えない位置だったので、見逃してしまった。せっかく教えてあげたのに、とあの子はふくれっ面をしていたっけ、と思い出す。
(今度はちゃんと見たぞー)と心の中で呼びかける。
「遅いよ、お父さん! もう消えちゃうところだったよ」あの子の声が聞こえたような気がする。甘えん坊のあの子は、文句をつけながら最後にはきっと「でも間に合ったから、許してあげる!」と笑ってくれるだろう。
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