下校の時間

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♢♢♢  西君と和歌のクラスでも、「虹が出ているよ」という誰かの声で、皆が窓辺に集まっていた。西君と和歌も挨拶を交わした流れで一緒に虹を見上げた。  「西君、手は大丈夫? 剥離(はくり)骨折したんだってね」  「うわ、恥ずかしいー。知ってたの? 包帯目立つもんなあ……。シーネっていうので簡単に固定しているから痛くないよ。あの、そういえば前髪、変えたんだね」  「うん」和歌はうなずいて、胸のリボンをそっと手で触った。  「似合ってる。制服のリボンもその方がいいね」  照れくさそうな褒め言葉に、和歌の胸がまた跳ねる。そっと隣を見上げると西君は和歌を見て、目が合うとまた虹を見た。虹を見上げながら、西君と和歌は言葉を交わす。  「きれいだね」「うん、きれいだね」「ありがとう……」「ありがとう? なんで……?」「うん、なんでだろう? なんとなく……かな」「そっかあ……。でも、分かる。なんとなく……私も。ありがとー!」  和歌は虹に向かって言った。  虹は嬉しそうに、空に向かって七色に架かっていた。
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