君のためなんて言えないけど

復讐の座敷童

　翌日、「復讐の座敷童がまた出たらしいよ」という噂が学校に広まっていた。「アイツ、いつかやられると思っていたよ」「自業自得……」というささやきを聞く限り、昨日、あの子にお仕置きしたのはやはり正しかったと一人うなずく。

　しかしやってもいない事まで、噂に尾ひれが付いて語られてしまった。
　曰く、「シャープペンの芯が折られたせいでテストが出来なくて追試になったんだって」
　（思うように回答は出来なかったかもしれないが、追試はなかったはずだ）

　曰く「ペンケースがズタボロだったらしい」
　（そんなことはしていないし）

　曰く「消しゴムに折れたシャープペンの芯が一杯差し込まれていたんだって」　「えー、消しゴムに芯が？　消そうとしたら落書きした、みたいになっちゃうね、それ」
　（いやいや、鉛筆の芯ならともかく、シャーペンの芯を消しゴムに刺そうとしても、折れてしまって入らないんじゃないかな？）

　などなど。ツッコミどころが満載だ。

　けれど誤解されたまま「復讐の座敷童、えげつない～」と言われてしまうとちょっと悲しい。なぜなら私は県立美環(みわ)高校の全校生徒たちを皆、可愛い弟と妹のように思っているのだから。