ボクらは主観で生きている

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 どうやら包丁だけは、二人には見えているらしい。 「包丁が宙に浮かんで見えているんだ」  と思うとケラケラと笑えてくる。  私は包丁を両手で抱え、客観に突進した。 「ゴギー、ガギ……」  確かな手応え。 「やったー、これでオレはもどれるぞ」  華子は尻餅をついたまま後ずさりして玄関に向かい、靴も履かずに飛び出していく。  居間の床にはどくどくとあふれ出した血の海。 「これがたまっていけば、血の池地獄になるのかなー」
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