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1st episode. 孤独なバケモノ
私の髪の毛は、長い。腰まである。
別にポリシーなんてないけど、美容室が怖いし視線も遮れるから好都合なだけ。
通うのは特段これといった特徴のない公立高校。
親友は親御さんの熱い想いを成就し中学から私立のお嬢様学校に行った。
そう、私には友達が、いない。
成績の都合上家から遠い高校に進学したため、
数少ない地元の友達もいない空間に今、迷い込んでいる。
ここまで絵に描いたような「ぼっち」はいるだろうか。
次の春になれば二年生でクラス替えがあるが、期待は全くできない。
高校生にもなって、意外とグループ学習が多いことに最近気づいた。
体育のダンス、英語の発表課題…などなど。
その度に私は「優しいを売りにした」パッとしないグループの女子達に混ぜてもらっていた。
彼女たちに罪はないが、私にも罪はない。
気まずい時間を、せっかくの青春から削り取って無駄に消費しているのだ。
「十和田さん、来週の日直なんだけど…」
背後から声がする。
「何?」
こういうシンプルな返答が「ぼっち」を加速させる要因であることは理解している。
「私この期間部活の朝練入っちゃって、日直の準備間に合わないから代わってくれない?」
お安い御用。暇ですから。
「うん、いいよ。」
「やった~!ありがとう!さすが十和田さん!」
一体何がさすがなのかわからないが、会話を強制終了する。
「(十和田さんOKだった。バケモノも飼いならすと便利だよね~!)」
聞こえなさそうで聞こえる音量で彼女は友人に報告していた。
カースト上位の女子達は私のことを「バケモノ」という。
黒髪ロングなだけなのに、そこまで言われる筋合いは無い。
おそらく頭がすこぶる悪い生徒なんだろうと推測し、深堀はしない。お触り厳禁案件。
彼女ら含めクラスメイトの「上層部」のことは嫌いだ。
私の世界はここには無い。ただの寄り道のような学校生活だ。
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