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時々思う。ひょっとしたらぼくは人間の生まれ変わりなのではないか、と。だったら、どうせなら人間の世界で今流行ってる小説みたいに、異世界に勇者として転生したかった。チート能力を発揮して無双してハーレムでメスをとっかえひっかえ……てな感じで。それなのに、なんで現実世界の、それも狐になんか転生してしまったんだろう。
まあ、こんな風に疑問を組み立てられるこの知能がチートみたいなものなのかもしれないが……狐としての生活に何の役にも立たないチートなんか、あってもあまり意味がないよなあ……
ちなみにぼくも異世界転生ものを3冊くらい読んだけど、それらは全部驚くほど内容が似ていて速攻で飽きてしまい、それ以来読んだことは無い。「ごんぎつね」を読んだときは号泣したというのに。
それはともかく。
というわけで、ぼくは兄弟姉妹の中でも比較的孤立した存在だった。それでも家族ということで、母親はぼくにそれなりに愛情を注いでくれた。そして、ぼくもそろそろ巣立ち、という時期のことだった。
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