化け物の中のバケモノ

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 ぼくが守った一番下の弟も、母親も、戻ってきた他の兄弟姉妹も……みな一様に、ぼくを畏怖の表情で見ていたのだ。まるでバケモノでも見るように……  ぼくは悟る。  やりすぎたのだ。ぼくは、狐という存在を飛び越えてしまった。  いや、狐どころか、こんな風に炎を使いこなす能力が備わっている動物なんか、そうそういるわけがない。そもそも、家族たちは皆ぼくが彼ら彼女らを救った、ということすら理解していないだろう。まして賞賛なんかするはずもない。  そして、居場所を失ったことに、ぼくは気付いた。  もはやぼくは彼ら彼女らの仲間ではない。まさにある種のバケモノになってしまったのだ。ぼくが読んできたいろんな物語でもそうだった。結局どんな組織でも、異分子というものは排除される運命にあるのだ。天才は常に孤独だ。  でも、それでいい。きっとこれは巣立ちの儀式なのだ。ぼくにもとうとうそういう時期が来た、ということなのだろう。  ぼくは家族たちに尻尾を向けた。 ---
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