第13話 健診結果

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第13話 健診結果

 健診から約2週間後、「健康診断結果報告書」の封筒が届いた。仕事の手を止め、すぐに開封して結果を確認した。  不安が的中し、総合コメントには「【要受診あり】上記異常項目について外来受診をして下さい」と書いてあった。  総合判定の欄はコメントがたくさん書かれていたが、一番上に「【腫瘍マーカー】異常を認めます。医療機関にご相談ください」の記述を見つけた。初めて見る検査項目で、可能性のある病気や原因は全く予想もつかなかった。他の項目も色々書いてあったが、眼に入らなかった。  検査の詳細を確認した。腫瘍マーカーの項目は2つで数値を見ると基準内だった。それなのに、D判定(異常を認めます)と印字されていた。真っ先に、単なる判定ミスを疑ったが、詳細ページを全部見ることにした。詳細ページの最終欄に「その他」があり、その内訳に腫瘍マーカーの項目が4つあった。「SCC」という数値が赤字で基準値を超えていた。判定ミスのバグ説は消えた。  診断結果の最終ページにある補足説明欄を確認した。SCCの解説には「扁平上皮がんのマーカーです。食道がん・肺がん・子宮頸がんなどで上昇します」と記述されていた。「がん」の単語が目に焼き付いてしまった。うちの家系はがん患者が多く、若い頃から、がん保険に加入している。自覚症状は無いが急に不安な気持ちが増大していくのがわかった。  すぐにクリニックの診察時間をホームページで確認した。受付は17時45分までで、少し早めに仕事を切り上げて、その日のうちに再検査に行くことにした。同僚に話すと「それ危ない項目では?」「私は再検査なかったです」「結果でて、その日のうちに再検査に行くなんて気が早いですね」といったマチマチの反応だった。  以前、再検査を放置していたら医務室の看護師に叱られたことを思い出した。「ご自身の体のことです。自分で責任を持って対応してください」と言われてしまった。突き放されて、やっと自覚した苦い経験がある。甘えてはいけない。  システム障害も初動対応が大切なのは身にしみてわかっている。後手に回らず、先手先手でいこうと思う。
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