3話

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3話

スポーツ系がぎらりと目を光らせて俺を睨んだ。 「何甘えた事言ってんだよ。現実性格良くて顔も良い男がまわりにゴロゴロしてたら皆そっちを恋人にしたいに決まってんだろ」 あれ。Sも嫌いじゃない・・・んだけど。 「え、でもありのままの俺を愛してくれるんじゃないの? 」 可愛い系男子がおおげさにため息をつく。 「まあ容姿については同情してあげるよ。選べないからね。でも僕達スタイルが良くて運動もできてって日々努力してるんだよね。食べ物には気を使ってるし運動はもちろん勉強も日々スキルアップは欠かさないし。 何誤解した婚活野郎みたいに‛何も努力しないけどこのままの俺を愛して♡’なんてツラの皮の厚い事言えんの? 上玉いとめたきゃ努力する他ないよね? 」 なに!?なんで攻略キャラクター達が俺に冷たいの!? 俺は思わず隠すつもりは毛頭なかったけれど本音をぶちかました。 「はあー!? そんな世知辛い世の中の理が嫌だから極めて自分に都合の良い事だらけのゲームの世界に逃亡するんじゃん! てか娯楽ってそういうもんだよね!? ここゲームだろ、この中でくらい良い目見させてくれよ!!」 可愛い系が全然可愛くない舌打ちをして眉間に皺を寄せる。 「本当性根腐ってんだね」 スポーツ系があきれた顔をした。 「は? 何お前主人公みたいな事言ってんの? 」 はあ? は俺のセリフだ。 「だってここゲームの中でしょ、で、俺がプレイヤーなんだから主人公! 」 「ちげーよ、ここの世界に来たのならプレイヤーもこっち側の世界の住人になるんだ。つまりお前も攻略キャラクターの一人になるんだよ」 俺はスポーツ系のセリフにしばし思考がフリーズした。 は? え? 「は、は、はあー!!?? 」 それまで黙ってずっとパソコンを触っていた王子様系が 「あ、データが出た」 とぽつりと言い、他のキャラ達もパソコン画面をのぞきこむ。スポーツ系が読み上げる声がぐさぐさと俺の心臓に刺さった。 「あ、これだ。レアキャラみたいだな。他の攻略キャラに比べて特に秀でた特徴もねーしルックスが良いわけでもねーし、モブキャラ萌えのキワモノ好きプレイヤー用、つまりマニア向けってことだな」 がっくりとその場にうなだれた俺に王子様系の落ち着いた冷静な声が容赦なく降り注ぐ。 「本来プレーヤーだったはずの者がこちらの世界に来て攻略キャラクター側になってしまう。__ごくまれにこういうバグが発生するんだ。今回のはおそらく地震がトリガーだったようだけど。まあ、あきらめるしかないな」 諦めなどつくはずがない。目の前にたくさんのイケメンがいるのに誰ともイチャイチャできないなんて生殺しじゃないか。俺はがばりと顔を上げ王子様系に訴えた。 「嫌だよそんなの! どうしたらこのゲームを終わらせられんの!? とっととリセットして元の世界に戻るよ」 「君はプレイヤーじゃないから。誰かがプレイして、何かしらのエンディングを迎えない限りここから出られないはずだ」 「なにかしらのエンディング? 」 「エンディングは色々あるけれど、一番手っ取り早いのは主人公、つまりプレイヤーと両想いになる事だな」 俺の内面で枯渇しかけているポジティブゲージが少し上がった。 「そ、その主人公ってイケメン? 」 スポーツ系がぴしゃりと言う。 「主人公が攻略キャラよりイケメンだったらゲームする意味ないだろうが。まあ、フツーだよ、フツー」 がん、と俺のポジティブゲージがマイナスへと振り切れた。
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