ストロベリーパフェが溶けないうちに

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「ふたりとも、大きくなったねえ。ほんとに」 (――もうこれ、何回目?)  おばあちゃんの無限ループに耐えられなくなって、口だけ笑った形の顔で通路を眺める。  大丈夫。おばあちゃんの相手なら、お姉ちゃんがいるし。  それより早く来ないかな。パフェ。  今日はお姉ちゃんの、中学校の卒業祝い。  向かいの席には久しぶりに長野から来た、高田のおじいちゃんとおばあちゃん。  さっき待ち合わせの駅で会ったとき、二人ともなんか小さくなっててぎょっとした。私が背が伸びたっていうのもあるけど、背が高いおじいちゃんも、元々小さいおばあちゃんも、縦だけじゃなくなぜか横まで縮んだ感じで。  ふたりの声が、目の前にいるのに遠くから出てるみたく聞こえたのも謎だった。  遠くっていうか、深くから? 口は開いてるのに、ちょっとしか音が来ない。  けど、話してたらふたりともだんだん前と同じ感じになってきて、ほっとした。
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