ストロベリーパフェが溶けないうちに

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 おじいちゃんたちには、結構長い間会ってなかった。  お正月はいつも、三好(みよし)のおばあちゃんの家でお父さんの兄妹と集まるし、去年の夏休みはお姉ちゃんの受験で、長野には行けなかったから。  前は高田のおじいちゃんたちの方から、泊りがけでこっちに来てた。お遊戯会とか運動会を見に来てくれたり、クリスマスにおばあちゃんとケーキ焼いたり。  けど、私が小二でお姉ちゃんが小六の運動会を最後に、そういうのはなくなった。 「もう、朱里(あかり)希美(のぞみ)も心配ないから」って。 (――なんだよそれ)  勝手なことばっか言って。みんな。  隣でお姉ちゃんが何か言って、おじいちゃんとおばあちゃんが笑った。お姉ちゃんの向こうの席のお父さんも、声は出さないけど楽しそう。 「……ああ、希美は面白いねえ。 おばあちゃん、こんなに笑ったの久しぶり」  眼鏡を外したおばあちゃんが、ハンカチで目元をちょっと押さえた。  そんなに楽しかったら、もっと会いに来ればいいじゃん。  自分たちのせいじゃん。勝手に来なくなって。
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