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裕貴君の静岡の実家近くの斎場で、翌日に通夜、さらにその翌日に葬儀が執り行われた。
私は通夜と葬儀に参列させていただいたが、裕貴君のおとうさんとおかあさんの配慮で火葬にも参列させていただいた。
火葬場での控室での待ち時間に、裕貴君のおとうさんとおかあさんが話しかけてくれた。
この時私は自分の能力のことを裕貴君のおとうさんとおかあさんに正直に話すことにした。
「信じてもらえないと思いますが、私は幼い頃から現実の世界と死後の世界を行き来することができる特殊な能力を持っています。」
私は小学生の頃にあった出来事や小学生の頃『バケモノ』と呼ばれたことがあることを話した。
また、裕貴君はこの私の能力のことを知っていて、私をかばっていつも味方になってくれていたことを包み隠さず話した。
すると、裕貴君のおとうさんが優しく語りかけてくれた。
「有栖ちゃん、私は有栖ちゃんの話を信じますよ!
だって、先日病室で裕貴が息を引き取った時に、裕貴に現実世界の有栖ちゃんの体を貸してくれたんでしょう!
そのおかげで、私達夫婦は裕貴の本当の気持ちを知ることができました。」
裕貴くんのおかあさんも優しく言葉をかけてくれた。
「私達は生まれつき体の弱い裕貴に何もしてあげる事ができなくて、裕貴に辛い思いばかりさせていると思っていたの…
でも裕貴の最後の感謝の気持ちを聞くことができて、とても嬉しかった。
これも有栖ちゃんのおかげね!
本当にありがとう!」
私は裕貴君のおとうさんとおかあさんの優しい笑顔を見て、心が救われたような気持になった。
裕貴君の火葬と葬儀を終えて、私は静岡の実家に立ち寄った。
実家の自分の部屋は、やっぱり落ち着く場所だ。
私はぼーっと裕貴君との思い出に浸っていた。
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