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この日以来、私は死後の世界に行くことができなくなっていた。
何故なのかわからないけれど、もう裕貴君に会えないような気がして、とても寂しい感情に襲われていた。
寒さも厳しくなってきた12月のクリスマスイブの日、大学4年生の就職活動で静岡の実家に帰省していた私が実家の近所を散歩しているとき、小学生の頃よく遊んだ神社に立ち寄った。
神社の中を歩いていると白い子猫がいることに気が付いた。
その子猫は、小学生の頃に見つけた子猫に似ているような気がした。
私はその子猫の背中をなでてかわいがったが、小学生の頃のようにその子猫に乗り移ることはなかった。
しかし、少しすると突然その子猫が語り掛けてきた。
「有栖」
私はびっくりしたが落ち着いてその子猫に話しかけてみた。
「貴方は誰?」
するとその子猫が、
「僕だよ!
裕貴だよ!」
と語りかけてきた。
「有栖、就職活動大変そうだけど体に気を付けて頑張ってね!」
私はこの話し方は、間違いなく裕貴君だと確信を持った。
私は裕貴君に、
「裕貴君、私裕貴君に会いたい。」
と正直な気持ちを伝えた。
すると裕貴君が、
「有栖はこちらの世界に来ることはできなくなったのかな?」
と話したので私は、
「そうなの…
何故かわからないけれど死後の世界に行くことができなくなったみたいなの…」
と今の私の状況を話した。
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