白い子猫

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私の名前は『有栖(ありす)』東京都内の女子大の3年生で、文学部で歴史を学んでいる。 私は幼い頃から2つの世界を行き来することができる特殊な能力を持っていた。 その世界の1つは現実の世界、そしてもう1つは死後の世界。 現実の世界の私はごく普通の女子だが、死後の世界の私は自分自身でもよくわからない。 母から聞いた話では見えない誰かと会話しているようなことがあり、また何かに乗り移っているようなこともあるようだ。 特に何かに乗り移るときは、他の人間とは限らず、動物に乗り移ることもできるようだ。 私が小学生の頃、自宅近所の小さな神社で白い子猫を見つけ、その子猫の背中をなでてかわいがっているうちに私はその子猫に乗り移ってしまったようだ。 子猫に乗り移った私に近所の高校生らしい2人の女子が近寄ってきて、 「かわいい」 と言いながら子猫に乗り移った私の背中をなでてきた。 その時私は、その女子高生に話しかけてしまった。 「こんにちは」 するとその女子高生は、とても驚いて、 「きゃあ、バケモノ」 と言って2人とも走って神社を出ていってしまった。 少しすると私の目の前に子猫がいて、私は元の状態に戻ったようだった。
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