白い子猫

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「裕貴君、私を置いていかないで…」 私が泣きながら裕貴君に訴えると裕貴君が、 「有栖、有栖は他の人にはない特殊な能力を持っているでしょう!  この能力、何か人の役に立つ日が来ると思うんだ!  だから、有栖は生きなきゃダメなんだよ!」 と私を励ましてくれた。 でも私は裕貴君と別れるのが辛くて、わがままと分かっていながら裕貴君に自分の正直な気持ちを伝えた。 「私は、この能力があることで小学生の頃よくいじめられた。  その時、いつも裕貴君がかばってくれた。  私は裕貴君がいないと生きていけない。」 私が泣いている姿を見て、裕貴君は何も言わずに私の体を抱きしめてくれた。 この時の裕貴君の体はとても冷たかったが、裕貴君の温かい気持ちが伝わってくるように感じた。 裕貴君が私の体を抱きしめながら耳元で私に話しかけてきた。 「有栖、お願いがあるんだけど…  僕はおとうさんとおかあさんに、伝えたいことがあるんだよ!  有栖の体を使わせてもらえないだろうか?」 私の魂は今死後の世界にいて、私の体は抜け殻の状態になっている。 私は裕貴君に私の体を使うことを了承した。 すると裕貴君は私の体に乗り移って、裕貴君のおとうさんとおかあさんに話を始めた。 「おとうさん、おかあさん、裕貴だよ!  びっくりしないで落ち着いて話を聞いてね!」 おとうさんとおかあさんは、私の体を使って裕貴君が話しはじめたことに驚いているようだったが、私の顔をじっと見つめて話を聞こうとしていた。 「僕は小さな頃から体が弱くて、おとうさんとおかあさんに苦労かけたよね!  幼いころいつ死んでもおかしくないと言われた僕が、ここまで生きることができたのは、おとうさんとおかあさんのおかげだよ!  本当にありがとう!  おとうさん、おかあさん、いつまでも元気で長生きしてね!」 おとうさんとおかあさんへの最後の言葉を話し終えた裕貴君は、私の体から死後の世界に戻ってきた。
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