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「有栖、ありがとう!
有栖は現実の世界に戻らなければいけないよ!」
私は裕貴くんとどうしても離れたくないと思い、わがままを言い続けた。
「いやだ、戻りたくない。
裕貴君と一緒にこっちの世界にいる。」
私は泣きながら裕貴君に訴えた。
裕貴君は、また私の体を抱きしめて耳元でささやくように、
「有栖、僕は有栖のこと大好きだよ!
小さな頃からずっと好きだった。
有栖はいつでもこうして僕に会いに来ることができるよ!
だから、有栖は現実の世界に戻って…」
と裕貴君は自分の思いを伝えてくれた。
私は少し悩んだ末、裕貴君の思いに従うことにした。
裕貴君は、抱いていた手を私の肩に置いて、私の顔を見つめながら優しく言葉をかけてくれた。
「有栖、僕はいつでも有栖の味方だよ!
有栖のことをいつも見守っているから安心して!」
私は裕貴君の顔を見つめながら頷いた。
私は裕貴君の体から離れて裕貴君の顔を見つめていたが、いつの間にか白い霧がかかって裕貴君の姿は見えなくなってしまった。
少しすると、
「有栖ちゃん」
という裕貴君のおかあさんの声が聞こえた。
私が気が付いて目を開けると、
「有栖ちゃん、大丈夫?」
と裕貴君のおかあさんが声をかけてくれた。
私は現実の世界に戻っていた。
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