第一話 片思いの相手

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第一話 片思いの相手

 高校二年生、5月。 私、吉沢(よしざわ)みゆきには、好きな人がいる。 「みーゆき!何書いてるの?」  話しかけてきたのは、親友の花屋敷(はなやしき)ゆりだ。  二年生になっても同じクラスになれてすっごく嬉しかった。  しかも昨日の席替えで、私達は前後の席をゲットできた。私の真後ろがゆりの席ってことね。私、クジ運だけはいいんだ。  これで昼休みは机をくっつけて一緒にお弁当を食べられる。今みたいに休憩中に気軽にちょろっと話したりもできる。昨日から私はルンルンだった。  ゆりは、明るくてさっぱりした、とても気持ちのいい性格をしている。見た目も可愛くって、ゆりは気付いてないみたいだけど、男子からは相当人気がある。  私は苗字も名前も平凡だけど、ゆりは苗字も名前も華やかで、密かに憧れていた。
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