第一話 片思いの相手

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 まだ、ゆりとただの友達だったころ、そのことを話したことがある。  そしたらゆりは、こう答えた。 「みゆきって変なこと言うね。私は私の名前、気に入ってるけど、みゆきって名前もすっごくいい名前だと思うよ。だって大好きなお父さんとお母さんがつけてくれた名前でしょ?」って。  反抗期の一種なのか、そのころの私は、家族に対して気恥ずかしいという思いがあった。  だから一層、そんなゆりの真っすぐに家族を愛し、それを堂々と人に言える強さに、私は惹かれたのだった。  ゆりには素直な自分を見せれるような気がした。  それから私達は親友になった。    もしかして、私の好きな人って…ゆり?!って思った?  「ゆり」なだけにって?  もちろんゆりのことは大好きだけど、残念ながらそういう好きではないんだ。    私の好きな人はね…
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