第一話 片思いの相手

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「ねえ、みゆき?聞いてるの?」  ノートに集中していて、ゆりの声に気付いていなかった。  私がすぐに返事をしないでいたら、ゆりは席を立って私の横に回り込んできた。 「えっ!これって…」 「わ!見ちゃダメ!」  急いでノートを閉じたけれど、もう遅かった。 「みゆき、もしかしてイジメられてるの…?」 「え?」 「だって、今のってかけてたんでしょ?」  ゆりはすっごい勘違いをしてるみたいだ。 「だってだって、1ページ丸まるギッシリ名前が書かれてたじゃない!」 「う、うん。そうなんだけど…。」 「みゆき、芳高(よしたか)になんかヒドイことされたの?!」 「いや、えっと…。」  私がノートを見られたことが恥ずかしくて、うまく否定できないでいると、正義感の強いゆりは行動に出ようとし始めた。 「私、芳高と話しに行ってくる!」  もうだめだ。恥ずかしいけど誤解を解いて、ゆりを止めないと! 「ゆり、待って!違う、違うの!」  歩き出そうとしたゆりの腕を素早く(つか)んだ。
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