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「ただいま~。」
時刻は六時を回っていた。お父さんとお母さんが帰るのはいつも八時を過ぎてから。
誰もいないのは分かっているけれど、小さいころからの習慣で「ただいま」と言うことにしている。
「お邪魔しまーす。」
「みゆきの家、いい匂いがするね。人んちって独特の匂いがあるよね。」
「分かる分かる。うちにもそんな匂いあるんだ。住んでるから分かんないけど。」
「みゆきと同じ匂いだよ。」
「私匂いあるんだ!?どんな匂い?臭くない??」
反射的にゆりから少し距離をとった。
「いい匂いだよ。ちょっと甘い香りかな?恋してるとそんな匂いになるって聞いたことあるよ。」
と言って、ゆりはウィンクした。
私にもちゃんとゆりみたいな女の子っぽい匂いがあるんだってちょっと嬉しくなった。
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