8人が本棚に入れています
本棚に追加
インスタントカメラは奇跡的に無事だったが、俺はあれ以来セルフヌード撮影会を固く禁じている。
亜美ちゃんからも次に開催したら別れると言われているし。
こうしてつつましい生活に戻ったある日のこと。
インターホンが鳴ったので出てみると、見知らぬ男性が立っていた。
「えと……」
「あ、隣に住んでいる者の息子です」
「はあ、えーと。何の御用でしょうか?」
「この度、父が引っ越すことになったものでご挨拶に……」
「ああ、それはご丁寧に」
「父の要望で一人暮らしを続けさせていましたが、そろそろ限界の様で……。今後は一緒に住もうと……」
その時、外から怒鳴り声が聞こえた。
「おい、いい加減にしろ。ワシは正気じゃ。異世界の神に召喚されて、魔王と戦ったんじゃ!!」
勘弁してくれよ、言わんばかりに彼は顔をしかめ、そのままそそくさと去って行った。
何となくその言葉に引っかかりを覚えつつ、俺は玄関の戸を閉めて鍵をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!