インスタント愚行

7/11
前へ
/11ページ
次へ
 段々慣れてきた俺は、トリッキーなポーズを試すようになってきていた。  次なるポーズはこれだ。  股のぞき。  天橋立を見るときにしかしないであろうこのポーズを、全裸でやる勇気。しかもセルフ撮影でやっちゃうこの斬新さ。  芸術点は比較的高めを頂けるのではあるまいか。  まず椅子を二つ用意する。その上に鏡に背中を向けて立つ。そしていざ股の間から鏡の方をのぞく。  大切なものが目の前をブラつく姿勢と言えばわかるだろうか。当然写真に写り込むことになる。  だが、最初の誓いとして、やはりそこは隠すべき。  カメラをそいつの前に出して写真を撮る事で、カバーしようというトリッキー炸裂。  これはなかなかに軟体性を要求されるポーズだが、仕上がりはきっといいものになるはず。    ……苦しい。  これはあまりのんびりできない姿勢だ。  完全に忘れていたけれど、俺は柔軟が苦手なんだった。  だが、芸術とは苦しみの果てに誕生するもの……と誰かが言ってたようなそうでもないような……。  よし、よぉし。どうにかカメラを構える事ができたぞ。  この角度ならばっちりだ。  鏡に映った全身も入っている。  ではいざ、シャッターを……。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加