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写真は、『「まこと」を「うつす」』という意味だとは、もちろんあなたも知っているだろう。
ならば、「まことをうつさない」、つまり編集ソフトで加工した映像やCGは「写真」と言ってはいけないことになる。
しかしそれは言い過ぎだと、私は思うのだ。
単に紙に写った映像を普通に「写真」と言えばいい、それで何も問題はないと私は思う。
なに、写真という言葉の定義としては『「まこと」を「うつす」』でいいじゃないか、とあなたは言うのか。
いや、まあ、それはその通りなのだが…
仕方がない、恥を忍んで言おう。
実は私は写真に写らないのだ。
体質、とでも言うのだろうか、昔からそうなのだ。
想像してみてくれ、集合写真を撮った時に、私の部分だけ空白だった時の気まずさと言ったら…
おや、その顔は明らかに私を疑っているな?
はあ、仕方がない、証拠を見せてやろう。
…何を身構えているのだ、私と一緒に写真を撮ってほしいだけなのだが?
一緒に撮った写真を見て、私だけ写っていないことがわかれば、あなたも理解できるだろう。
さあ写真機も用意したぞ、プロが記念写真撮影などで使う本格的なものだ。
うん、写真機を確かめたいというのか?
ああ、存分に納得のいくまで確認してくれ。…どうだ何もあやしい所はないだろう。
それでは一緒に写すぞ、ほら、笑って…
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