4人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだ、俺はこのゲームの世界から何年も戻っていない。
これより大きなバケモノの涙を手に入れて現実の世界へと戻る」
「そうだな、俺も戻りたい」
蔵人の意外な反応にカサドが問う。
「お前、前は『ずっとこの世界に入れたらな』なんていってたじゃないか」
「この世界だと俺はヒーロー扱いだからな。
お前もそれで俺に近づいてきたんだろ」
笑ってカサドを見つめながら、現実に戻って【ムーンナイトサバイバー】と不審死の関係を確かめたいと思う気持ちが芽生えていた。
「まぁ、俺一人でも充分なんだがな」
力瘤を見せつけてくるカサドに尋ねる。
「これからまず何をする?」
「町に行ってこれを売る」
透明になったバケモノの涙を見せる。
「そんなの売れるのか?」
「使用済みっていったって、超レアアイテムだ。
けっこな高値で買い取ってくれる」
「お前さっき、台無しだとか言って俺を責めたよな!
俺の反省半分返せ!」
「台無しは台無しだ」
二人は軽い会話をしながら町に向かって歩いていく。
蔵人が殺した男は静かに朽ちていく。
この世界で生きていくためには、現実の世界に戻るためには、罪悪感はない方が良いのだろう…でも
最初のコメントを投稿しよう!