カミサマと俺

3/12
前へ
/12ページ
次へ
 そんな俺の切なる願いが天に届いたのだろうか。  ある朝、登校していると『腹』が空から降ってきた。雨のようにポテッと、俺の頭に落ちてきた。  ほどよい重量のあるそれを手に取ると、俺の両の掌にジャストフィット。その瞬間、俺はメガネ越しに目をパアァと輝かせた。  白に近いクリーム色、輝く質感にホッと落ち着く温度。そして大福の如く弾力のあるフォルム。まさに理想の祖母の腹そのものではないか! 「ヤア、ニンゲン」 「うおお!!」  俺が感動していると、その大福が普通に挨拶をした。よく見ると手足だろうか、線か棒のようなものが4本、大福にニュッと生えている。そして中心には小さな口と目――あ、瞬きした。  い、生き物だ、コイツ。 「な、な、何だ!? 貴様」  完璧人間の俺が珍しく動揺すると、俺の掌の上のそれは「キサマとはシッケイな!」と小さな棒の腕をブンブン振った。ぽよんぽよん跳ねて抗議している。手が幸せ。 「ワガハイはカミサマだ! おなかのカミだ!」  ……パードゥン? 俺の脳内が思わずイングリッシュになる。何を言っているのだこの大福は。手が幸せ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加