カミサマと俺

1/12
前へ
/12ページ
次へ

カミサマと俺

「すげー……勘解由小路(かでのこうじ)の奴、また中間トップだぜ」 「さすが生徒会長だよな」  そう、俺こと勘解由小路 権之助(ごんのすけ)は成績優秀だ。 「キャーッ! 権之助センパイだ! 今日もカッコいい~! 名前がちょっとアレだけど」 「ほんとクールなメガネ姿がイイよね~! 名前がちょっとアレだけど」  そう、俺こと勘解由小路 権之助は眉目秀麗だ。あと貴様らは世界中の権之助さんに謝るがいい。  俺は騒ぐ女子共を睨み付け――「目が合った」などと騒いでいた。能天気な奴らだ――、大衆の畏敬の視線を浴びつつ放課後の今、学校を後にした。  高校2年生17歳、いわゆる青春真っ盛りの俺は寄り道もせずに家路を急ぐ。  スポーツも万能で自他共に認める完璧人間の俺には、誰にも言えぬ秘密があった。 「間に合ったな……」  帰宅し、リビングのテレビをリモコンでつける。あらかじめチャンネルを合わせていた為、目的のものが直ぐに映し出された。  相撲中継だ。俺はソファに座りジッと魅入る。  誤解なきよう断っておくが、俺は別に相撲ファンではない。それ自体に興味は皆無だ。  それにも関わらず何故、こんなにも真剣に視聴しているのかというと。 「フッ……この力士、なかなか良い腹をしているな……」  ニヤリとする俺の視線は、試合そっちのけで力士の腹そのものに注がれていた。  そう、俺は重度の――腹フェチだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加