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「トレミル…、トレミル!!
何であんな事を言ったの?!」
「何故って…、あなたがこの国の王子と結ばれれば、我らの街とこの国との結びつきが強くなる
そうすれば、万が一私達の正体がバレても対処しやすいからですよ
あなたが褒美を断ったときはすごくヒヤヒヤしましたが、今となっては感謝しかありません
本当にありがとうございます」
「ふざけるなよ……!
女神や人間が妖精族だけでなく、ドルイド族にしてきたことを忘れたの?!」
「片時も忘れたことなどあるものか
忘れたことなどないから、生き残るために全てを利用するんだ
同じ族長ならわかるだろう」
「だとしても…!」
「利用されるのが嫌だと?
もとは貴様が一族を守り抜く術を見誤ったからだろう?!
それを棚に上げて、我々が悪いだと?
笑わせるな」
「グッ………」
「図星だろう?
全ては貴様の責任だ
貴様がしっかり一族を守れていれば、利用されることなんかなかった
己の無力さを嘆くがいい
さて、私は陛下との日程の打ち合わせがあるのでこれで失礼させてもらう
またな、王妃様」
皮肉を残してその場を去っていった
(全部……当たってる)
「エルニ様……」
「あぁ…ティノゼ君、聞いてたんだ」
「……エルニ様、ちょっとついてきてください」
「いいけど、何かあったの?」
「ここじゃちょっとできない話をしようと思って」
「そう」
無言で歩く廊下は、二人の足音がやけに大きく聞こえた
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