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始まり
「ウゥ……痛ッ…あれ?ここは……森?」
全く見覚えのない森で目を覚ました
ここに来る以前の記憶がない
「えっと……アタシは…エルニ
そう、アタシはエルニ
名前は覚えてる、けど…アタシは一体何者?」
背中に生えた大きく美しい羽根を見ても、何も思い出せない
(これだけ大きい羽根なら、もしかして…)
そう思い飛んでみようとする
予想通り浮いたはいいものの……
「うわっ!わわ、痛!!」
うまくバランスが取れず、進もうとして木に激突してしまった
「イタタ……うーん、要練習かな
飛んで探索は期待できない…か
歩くしかないか」
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「ハァ、木とか植物ばっかり…森だから仕方ないか
でも、もうかなり歩いてるのに何もないし、出られる気配もない
うーん、進む方向が間違ってるのかな?
でもなんとなくこっちな気がしたんだけどな…?」
木々が密集し、鬱蒼とした森をひたすらに歩く
何故かこちらに行けばいいと、ずっと感じており、それに従って進んできた
やがて突然、木々が無くなり、陽のあたる場所にでる
広場の中心には枯れた若木がポツンとたっていた
「やっぱり間違ってたのか…
とりあえず、一回休憩しよっと」
(ようこそ…新しき森の主……)
「誰?!」
(私は案内人、記憶をなくし、右も左もわからない新しき主のためにある者
さぁ、あなたの目の前にある若木に触れて)
「触れたらどうなるの?」
(実際に見たほうが早いですよ)
声に従い、恐る恐る若木に触れる
一瞬、若木が光ったような気がした
次の瞬間、枯れていたはずの枝に青々とした葉が茂り、色とりどりの蕾が芽生え、幹も大きく成長する
「うわっ?!え、え?どういうこと?」
『これが創世神様があなたに授けた力
この森とこの森にこれから住まう新たな種族、妖精族の王たる力
おや?なぜ花が開かないのでしょうか?』
「そんなの、アタシに言われても知らないよ」
『おかしいですね
あなたの力には今、白き癒やしの力はあれど、核となるはずの黒き戦いの力がない
なぜ覚醒していないのでしょう?
あぁ…、あなたがこの森に来たタイミングは、創世神様の身に何か起きた直後
きっとその際にあなたを守る為に、急いだために覚醒しきる前に外界に逃されたのでしょう
では、あなたの力が覚醒し、妖精族を生み出すことができるまで案内人としての役目を果たしましょう』
「うーん、創世神様の事情はよくわからないど
まぁ、これからアタシはここで妖精族っていう種族の王様になるんだね
これからよろしく」
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