災厄

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「天使長様、無断で使用されたアルマプリアの居場所がわかりました こちらです」 透明な球体の中に流れる映像 「妖精族の森か……」 「どうされますか? 無断でのアルマプリアやその他聖獣の使用、並びに他種族への攻撃 中隊長の一人とその直属の部下の一人が画策したようです」 「成果次第ね」 「あぁ………ム? こ……この魔力は‥?!」 「まずい!!今すぐ攻撃の停止命令を出すんだ!」 「この状態じゃもう遅いわ!!」 「私が止めに行ってくる!」 声が聞こえた瞬間、その場にいた人間達と下位の女神族は皆漆黒の茨で串刺しになっていた 口角だけがつり上がった気味の悪い笑顔 見開かれ何の感情も篭っていない黒い瞳と深淵のような黒い羽根 「なッ?!一体どうやって?! グッ?!?!」 間一髪茨を剣で弾く 攻撃の手が休まることはない 相手は一歩も動かずただ不気味な表情で見てくるだけ (しかし…この勢いなら……!) 徐々に距離を詰める エルニは微動だにしない 「貴……様!女神族を舐めるなよ!!」 ほんの僅かな攻撃の隙を突いて反撃に出る しかし、虚しく空を切るだけとなった 「中隊長ごときでアタシに敵うとでも?」 背後からの声に死を悟った瞬間 「ッ!」 「間一髪だったな 帰ったらただで済むと思うなよ 厳重注意などでは済まないからな」 「天使長様!!」 「天使長……めんどくさいな……」 傷口から木の根が生えてくる それは瞬時に失った腕を形作り、切り落とされた腕を瞬時に作り直す 「やはり……そうくるか 中隊長、構えろ」 「誰のこと呼んでるの?」 声の方向から中隊長の死体が飛んでくる 「なに?!」 死体を払いのける しかし目の前にはエルニはいない 「後ろか!!」 「遅い」 振り返ると腕に茨を絡めた手刀が確実に急所を狙っていた (まずい!!前とは段違いだ! このままではッッ!!) 「カッ……ハ?!」 背後から核を一突き そのまま力なく地面に倒れる 羽の色も元に戻り、禍々しい魔力も消えた 天使長の荒い息遣いだけが響いた 「危なかったわね 一体どういうこと? 前よりも格段に強くなってるじゃない」 「わからない この数千年の間にさらに力をつけたのだろうとしか説明のしようがない」 「まぁいいわ、で、これからどうするの? アルマプリアと聖獣の無断使用 中隊長とその部下の死亡、妖精族は全滅 最高神様に何てお伝えするの?」 「森を燃やせ、あの樹を中心に」 「ちょっと、答えになってないわ」 「妖精族は邪悪な魔神族を復活させようとしていた それに早急に気づいた中隊長とその部下は報告する間もないと判断し、行動して死亡 アルマプリアと聖獣はその際にやむなく使用 私達が最終的に妖精族にとどめを刺し、邪悪な痕跡の残る森を燃やした こう説明するんだ、早くやるぞ」 ドルイドの里からの帰り道 移住計画に賛成するということを正式に伝える為、ティノゼもムエクとともに帰っていた 移動用の鳥、スクニを使っているので行きよりも早く帰れそうだ 早く帰ってエルニに良い知らせを聞かせるのが楽しみで仕方がなかった 彼女の喜ぶ顔が早くみたいなと二人とも考えていた 森が視界の中に入ってきたとき、その異常性に目を疑った 「何だ……?あれは?……火?炎…… ティノゼさん、ちょっと急ぎますよ!」 「わかりました!」 嫌な胸騒ぎがする どうか……この予感が外れてほしい そこには赤々と燃える森があった 「そんな…エルニ様?他の皆は?」 あまりのショックにその場から動けなくなるムエク 「ハッ!!ムエクさん、ついてきてください!」 「え?ちょ、ティノゼさん待ってください!!」 ティノゼが降りた場所には何かを守るように生えた茨のドームがあった 火の手はすぐそこまで迫ってきているようで、強い熱気が立ち込めていた 「ムエクさん、この中です この中に誰かの魔力が感じられます ルラベリ ホーラトーン」 魔力が吸収され、茨が消える 「エルニ様!!」 血溜まりの中心にエルニが倒れている 目立つ外傷はない しかし、その魔力は今にも消えそうだ 「ムエクさん、早くここを離れて安全な場所へ!」 「わかってます!!」
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