16.悪霊の力

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16.悪霊の力

16.悪霊の力 「悪霊のエネルギーが電磁波の一種なら増幅可能だと思います。悪霊は殺害するたびにその力を増大させるのかもしれない。第三のマンホール事件はガス爆発。明らかに凶暴になっていますね」  法眼が自分に言い聞かせるように言った。 「悪霊となったイネの墓はどこにあるのでしょう?」 「墓地なら古地図にも載っているかもしれませんが、イネの墓地は災いを恐れた人々が別の場所に埋葬したようなので、どこなのかな? それに関東大震災の液状化現象による陥没で墓は埋もれてしまった。だから、富浜区の何処にあるのは確かなのですが」  法眼は悔しそうな顔をした。 「……」美子も頷いて肩を落としたが、すぐに気を取り直して言った。 「水道局の職員から再開発で道路が舗装され、使われなくなったマンホールが道路の下にあるという話を聞きました。消えたマンホールです。古いマンホール、管路は、現在の管路図にも載っていないそうなのです」 「消えたマンホールか? 青木刑事は事件のあった周辺のマンホールも捜査したといいましたね」 「はい。しかし、殺害現場が発見され、調査は終了しています。ですから使わなくなったマンホールの捜査はしていません」 「なるほど……」  法眼は顔をしかめた。 「先生、何か?」  美子の瞳が大きくなった。 法眼は頷いた。 「墓は消えたマンホール、管路の先にあるような気がします。明日、国会図書館で関東大震災前後の富浜区の管路図を探してみます。それを調べれば怨霊となったイネの墓の手がかりがあるかもしれません」  法眼が言った。
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