第一章 菊のかんざし

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 ぽっくり ぽっくり  あの足音が少し離れたところでまた止まった。女店主は顔を上げると、あの美しい女が少女に声をかけていた。  「…お嬢さん、道を教えてくれませんか?」  少女は声を掛けられたことに驚いてか少し身を引いた。女はゆっくりと目を細めた。少女はちらちらと女を見た。そして、目線を下へ向けたが、こくんと頷いた。  「…竹林に囲まれた屋敷に行きたいのだけど、どの道が近い?」  女が尋ねると少女は、目を見開いた。もう一度、女をよく見た。そして、震える声で答えた。  「…この橋を渡り、左へまっすぐに歩きますと大きな屋敷が見てきます…あの、無礼をしてしまい失礼しました…」  少女は頭を下げた。
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