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16時45分
『活』の近くの駅で降りる。
残り15分、間に合うだろうか、感覚だけを頼りに建物を探していく。自分の家からそう遠くはないが、降りた事のない駅。方向音痴な俺にはまるで余所の土地へ着た様だ。
角をいくつか曲がり、上を見ながら歩いていると突然、
『活』は表れた。
「あった」
時計を見ると16時57分。ギリギリ間に合った。
建物の一階は駐車場になっており、いかにも高級車という綺麗な車が駐車している。すぐ隣に階段があり、2階に繋がっている。
「あのー」
さっきまで人通りはなかったのに、まるで待ち伏せしていたかの如く後ろから声をかけられた。
振り返ると制服を着た女の子が立っていた。
「はい?」
「あのー、村上、さんですか?」と、女の子が訪ねてきた。
「え?いや、違います」
「そうですか、すいません」
俺と同じく『活』の紙を拾った子だろうか。
一瞬、俺も相手が村上かと思ったが流石に高校生ではなかったようだ。
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