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時計を見ると16時59分。
もしかしてあの紙はただの悪戯だったのだろうか。だとしてもハンカチで俺をしつこく誘うなんて手間がかかり過ぎる。
あと1分、信じてみるか。
そう思った時、階段から足音が聞こえて来た。
足元からゆっくりと姿を現したのは、昨日垂れ幕を片付けていた男だった。
70歳手前といったところだろうか、
「あら、今日は来てますね」とその男が喋った。
「……」
「ふふ、いらっしゃいませ」
「……あの、村上、さんですか」
「はい、私が村上です。今日は1名様ですね」
「あ、いや」
後ろを振り向いたが女子高生の姿はなかった。
「あれ?」
女子高生は諦めたのか、駅方面に向かって歩いている姿が見えた。
「どうしました?」
「あ、いや。なんでもないです‥‥。あのーこれって何なんですか?」
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