黒色の海

1/4
前へ
/293ページ
次へ

黒色の海

コヂカの心にはズレがある。宵も更けた海岸からバスで家に帰る途中、コヂカは座席に腰掛けてポケットの上からシーグラスを撫でていた。 黒い海の中を漁火が流れていく。 隣の席にはマリ、一つ前の席にカンナとシオンがスマホ片手に話し込んでいる。 今日も学校でいっぱい話して、それぞれ部活に行って、そのあとシーグラスを拾って、充実した一日になった。 コヂカは4人のLINEグループに載せられたアルバムの写真をぼんやりと眺めながら、画面左上の時刻が変わるのを刻一刻と追っていた。 「うわ、片岡たち心スポ行ってる」 マリが独り言のように呟いた。いつの間にか話はビーチコーミングの話題から逸れている。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加