宵の渚

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「へへっ、そうかな。まあでもこれが欲しいってわけじゃなくて、うちらにも作れんじゃんって話」 「ハンドメイド?」 マリが尋ねた。中学から水泳部の彼女の髪は色が抜けて光が透けている。 「そうそう。貝殻とかシーグラスってやつを拾ってさ」 ビーチコーミングと言うらしい。飾り物や装飾を作るために海岸に行って、打ち上げられた漂着物を集める。 シーグラスとはガラス片や割れた瓶が波にもまれて丸くなったもののことを指し、スマホのディスプレイに映ったそれは、まるで宝石のように様々な色を放っている。 カンナはまとめサイトを開きながらそこに書いてある言葉を咀嚼していく。
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