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照太郎はぞくり、とした。
ところがまぁよく見ると、
月のように美しい顔をした娘であったので
声をかけることにした。
「もし、そこの人。
そなたはこの村では見ないものであるな。
いずくの女人であるか?」
娘は、ぽっと微笑むと、
上等の鈴の音のような声で答えた。
「あい。
わたくしは、
明日切られてしまう、
楠でございます。
わたしが切られて道が出来るのはようございますが、
前々より、美しいあなた様に、
恋に焦がれておりました。
切られ、命を落とす前に、
ひと目、お会いしたく、
このように参った次第でござりまする」
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