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1.離島の駐在所
都内から数㎞離れた島にあるたった一つの駐在所。
その奥の六畳間から二階が生活スペース。
俺・緒方堅志朗(けんしろう)と駐在所本来の主で警察官の石原陸裕(みちひろ)さんの愛の巣。
愛の巣というのはなんとも陳腐な言い方かもしれないけど、実際に愛の巣なので仕方ない。
二階にも部屋はあるのに、石原さんは一階を寝室として使うと言って譲らない。
島にある、たった一つの駐在所。
だから緊急事態が起こった時には、できるだけ早く駆けつけたい……というのが、その理由だ。
そんなめちゃめちゃ真面目で堅物で、そして誰にでも優しい石原さんは、島に流れ着いた胡散臭い俺にも分け隔てなく親切にしてくれた。
年は俺より六才も上の三十才なのに、なんというか……石原さんは可愛い。
可愛くて優しい。男なのに妙に色っぽい。
色っぽいと言っても、かまっぽいとかいうのとは全然違う。
子供の頃からやってた柔道の所為か、どちらかというとがっしりとした体つきで、なよなよとしたイメージはない。
かといってムキムキの筋肉って訳でもなく引き締まった体をしているんだけど……、なんというか男好きする身体っていうのだろうか。(これも石原さんに言ったら、叩き出されそうなので絶対に秘密。)
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