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そんな石原さんに俺は恋をした。
俺もまさか男を好きになるなんて思わなかったけど、なんというか……なんとも言いようがないのだが、どうしようもなく好きになっちまったんだから仕方ない。
都内で一緒に住んでた兄貴……と言っても本当の兄貴じゃない。
いわゆる俺は「舎弟」ってヤツだった。
兄貴の下で、生きる為に色々とやばい事にも手を染めていた。
そんな兄貴と彼女と俺は……まあ、いわゆる男女間のトラブルで、もう一緒には住めなくなった。
どこにも行く宛てなく、俺はかつて祖母が住んでいたという、か細い縁を頼りにこの離島にたどり着いた。
結局、顔も見たことない俺の祖母に当たる人も既にこの世を去っていて、俺はいよいよ行き場を失った。
そんな時、優しい石原さんに俺は拾われた。
「行き場が見つかるまで、ここに居てもいい」
と。
「ここ」というのは、もちろん駐在所の事。
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